直木三十五 『大衆文芸作法』 「先生、手ひどいことだけは、もうどうぞ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 直木三十五 『大衆文芸作法』

現代語化

「先生、もうこれ以上酷いことはやめてください」
「わかった。でも、こっちが隙を作ろうとすると、そっちに隙ができる。わかるか」
「はい」
「俺はまだお前の気持ちがわかってる。でも、小兵衛。覚悟はできてるか」
「何の覚悟でござるか」
「覚悟は覚悟だ。俺はいずれ気が狂うかもしれない。そうしたらお前の命も危なくなるぞ」
「先生」
「お前は逃げようとしてるな。逃げたらお前の足は動かなくなるぞ」
「先生」
「はは。またお前は俺を殺そうとして来たな」
「先生。そんなことは、もうおっしゃらないでください」
「わかった。さあ来い」
「先生」
「なんだ」
「私はもう怖くて歩けなくなりました」
「バカな奴だ。お前は俺を殺せばいいんだ。ただ殺せ。遠慮する必要はない。俺は近いうちにきっと豊臣秀吉に殺されるんだから」
「先生」
「俺は秀吉に殺されるくらいなら、今お前に殺される方が嬉しい。わかったか。やれ」
「先生、私をここで、殺してください」
「わかった。お前が俺を殺さなければ、俺は今すぐお前を殺す」

原文 (会話文抽出)

「先生、手ひどいことだけは、もうどうぞ」
「よしよし、だが、こちらに隙を造らそうとすると、そちらに隙が出来て来る。良いか」
「はい」
「俺はこれでも、まだお前の心はすっかり見えるわ。だが、小兵衛。覚悟は良いのう」
「何の覚悟でございます」
「覚悟は覚悟だ。俺は今に乱心するにちがいない。すればお前の命も危いぞ」
「先生」
「お前は逃げようとしているな。逃げればお前の足は動かぬぞ」
「先生」
「ははア。またお前は俺を殺そうとして来たな」
「先生。そんなことは、もう仰言らずにいて下さい」
「よしよし。さあ来い」
「先生」
「何だ」
「私はもう恐しくて歩けなくなりました」
「馬鹿な奴だ。お前は俺を殺せば良いのだ。ただ殺せ。遠慮は入らぬ。俺はいずれ、近々に太閤の奴にしてやられるにちがいないのだ」
「先生」
「俺は太閤に殺される位なら、今お前に殺される方が満足だ。良いか。やるのだぞ」
「先生、私をここで、お殺しなすって下さいませ」
「うむ、お前が俺を殺さぬなら、俺は今にお前を殺してやる」


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