GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『一塊の土』
現代語化
「何よ、女に外に出るより、家事が一番ですよ」
「いや、野良仕事が好きってのがいいんだよ。うちの嫁なんか、結婚してからもう7年になるけど、野良に出たことも草むしりも、一日としてやったことないよ。子供の洗濯とか、自分の服の繕いとか、毎日家にこもって暮らしてるよ」
「そっちの方がいいですよ。子供の格好も良くなるし、自分もきれいになれるのは世間の飾りですもん」
「でもさ、今の若い者は概して野良仕事が大嫌いみたいだな。――おや、さっきの音は?」
「さっきの音ですか? あれは牛の屁ですよ」
「牛の屁か? なるほどね。――でも暑い中、こうら干しをしたり、粟の草取りをしたりするのは、若い時は辛いもんな」
原文 (会話文抽出)
「お民さんはえ? ふうん、干し草刈りにの? 若えのにまあ、何でもするのう。」
「なあん、女にや外へ出るよか、内の仕事が一番好いだよう。」
「いいや、畠仕事の好きなのは何よりだよう。わしの嫁なんか祝言から、はえ、これもう七年が間、畠へはおろか草むしりせえ、唯の一日も出たことはなえわね。子供の物の洗濯だあの、自分の物の仕直しだあのつて、毎日永の日を暮らしてらあね。」
「そりやその方が好いだよう。子供のなりも見好くしたり、自分も小綺麗になつたりするはやつぱし浮世の飾りだよう。」
「でもさあ、今の若え者は一体に野良仕事が嫌ひだよう。――おや、何ずら、今の音は?」
「今の音はえ? ありやお前さん、牛の屁だわね。」
「牛の屁かえ? ふんとうにまあ。――尤も炎天に甲羅を干し干し、粟の草取りをするのなんか、若え時にや辛いからね。」