GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 徳冨健次郎 『みみずのたはこと』
現代語化
「そういえば、上祖師ヶ谷の彦さんは分かった?」
「分かんねえよ。中隊でも大騒ぎだって、私服で出る、制服で出る、とにかく空井戸探してるらしい」
「怒られたのかな?」
「いや、中隊では評判良かったよ。真面目だったし」
「真面目なやつが一番危ないんだよ。ちょっと時間に遅れたりすると、すぐ無茶するから」
「そうだね」
「岩もさ、上等兵の候補になったってよ」
「へー。岩さんはどこに行っても可愛がられるよ」
「毎月ね、」
「毎月ね、3円ずつ送るってさ。そっから兄のところからも3円ずつくれるんだって。で、小遣いが足りないと、上祖師ヶ谷みたいになっちゃうんだって」
「月に6円ずつって、それは大変だな」
「岩もさ、当時は腹減りすぎて困ったって言ってたよ。何しろ麦飯を7、8杯も食べてたんだからさ。売店に食べに行ったりもしたみたい。今はだいぶ楽になったって言ってたよ。あと1年半で帰ってくるよ」
原文 (会話文抽出)
「今本膳が出てる処だからな」
「それはソウと、上祖師ヶ谷の彦さんは分ったかな」
「分からねえとよ。中隊でも大騒ぎして、平服で出る、制服で出る、何でも空井戸を探してるちゅうこンだ」
「窘められたンですかね?」
「ナニ、中隊では評判がよかったンですよ。正直でね」
「正直者が一番危ねえだ。少し時間に後れたりすると、直ぐ無分別をやるからな」
「違えねえ」
「岩もね、上等兵の候補者になりましたってね」
「然かね。岩さんは何処に往っても可愛がられる男だよ」
「毎月ね、」
「毎月ね、三円宛やりますよ。それから兄の所から三円宛ね、くれますよ。ソレ小遣が足りねえと、上祖師ヶ谷の様にならァね」
「月に六円宛、其れは大変だね」
「岩もね、其当座は腹が減って困ったてこぼして居ましたっけ。何しろ麦飯の七八杯もひっかけて居ったンだからね。酒保に飛んで行き/\したって話してました。今じゃ大きに楽になったってますよ。最早あと一年半で帰って来ますだよ」