徳田秋声 『爛』 「真珠のがないから、これは私のにしておきま…

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青空文庫図書カード: 徳田秋声 『爛』

現代語化

「真珠がないから、これは私にもらっとくわ」
「そしたらそれお前のにして、何か高彫りのやつ一個あげるよ」
「いけませんよ。あなたが甘やかすから、調子に乗っちゃってしょうがないんです。最近だいぶ変わってきましたよ。あなたが悪いんです」
「でも、それは仕方ないよ。期待されて頼まれりゃ、こっちもそれなりのことはしないと。これから奥さんの話が決まるってなればなおさら、ほっとけないでしょ」

原文 (会話文抽出)

「真珠のがないから、これは私のにしておきますわ。」
「そんならそれをお前のにしておいて、何か高彫りのを一つ代りにやるかね。」
「いけませんよ。あなたがあんまりちやほやするから、増長してしようがないんです。このごろ大変渝って来ましたよ。あなたが悪いんです。」
「けど、それはしかたがないよ。見込んで託けられて見れば、こっちだって相当のことはしなければならん。これから室の方の話が纏まるものとすればなおさらのこと、うっちゃってはおけない。」

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