徳田秋声 『爛』 「あれだけは、己の失策だったよ。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 徳田秋声 『爛』

現代語化

「あれだけは、自分の失敗だったよ。」
「自分はほかには人に非難されるようなことはないんだ。あれを教訓に、女には今度からは絶対に手を出さないことにしよう。」
「そうはできませんよ。」
「いや、あんな女も珍しいよ。こうなるのが、あいつの当然の運命だよ。自分は決してかわいそうだとは思わない。」
「でも、私は一生あの人に恨まれるのよ。」
「ばか言うなよ。」
「後悔するのも当然よ。今は話してるけど、あの人が何日も家を空けて、遊び歩いてる間、何してたか知らないでしょ。あいつの貞操を疑ってもおかしくないよ。」
「何かそんなことがあったんですか。」
「まあ……そういうことはなくてもさ。とにかくこれでさっぱりしたよ。自分はこれまで、何回あいつのために、刃物を振り回されたか知らないよ。それに、あの持病ときたら。よく我慢してたつもりだ。」
「目が治ったら、また何か言ってくるよ、きっと。」
「そんなことに応じるわけないだろ。」

原文 (会話文抽出)

「あれだけは、己の失策だったよ。」
「己は他に人から非難を受けるような点はないんだ。あれに懲りて、女には今後断然手を出さんということにしよう。」
「そうは行きませんよ。」
「いや、あんな女もちょっとめずらしいよ。こうなるのが、彼奴の当然の運命だよ。己は決して可哀そうとは思わん。」
「でも、私は一生あの人に祟られますよ。」
「莫迦言ってら。」
「後悔するのが当然だ。今でこそ話すが、あの女が二日も三日も家をあけて、花を引いてあるく裏面には、何をしていたか解るものか。あの女の貞操を疑えば疑えるのだ。」
「何かそんなことでもあったんですか。」
「まあさ……そういうことはないにしてもさ。とにかくこれでさっぱりしたよ。己はこれまでに、幾度あの女のために、刃物を振り廻されたか知れやしない。それに、あの持病と来ている。まず辛抱できるだけして来たつもりだ。」
「お鳥目がなくなったら、また何とかいって来ますよ、きっと。」
「そんなことに応じるものか。」


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