徳田秋声 『爛』 「どうもしばらく。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 徳田秋声 『爛』

現代語化

「久しぶり。」
「ご覧のとおり、ボロ屋で……私もすっかり落ちぶれてしまったよ。」
「でも、商売は順調そうじゃないですか。」
「は、この方は好きなことをやってるから、まあボチボチやってるんですよ。そのうちまたこの体を売るみたいなことになるんじゃないかって思ってますけど。」
「もうだめよ。」
「あの人、すごく変わったわね。頭が透けて見えるようになったよ。」
「ああ、すっかり運気が変わっちゃったよ。歳を取って困るとか言うけど、自分でも気にしてるみたい。それに私、もっとあの業界で活躍できると思ってたんだけど、全然だめなのよ。昔世話した人も、みんな寄りつかなくなっちゃったくらいだし。」
「でも、何でもできるからいいじゃない。」
「いや、どれもこれも中途半端だからダメなのよ。でも、こんな商売してるから、いろいろなお宅に出入りできて、そこで仕事をもらおうとか考えてるみたい。それもどうせいいことはしないだろうけどね。」
「そう考えると、お増さんは運がいいよ。頑張って我慢しなさいよ。」

原文 (会話文抽出)

「どうもしばらく。」
「ごらんの通りの廃屋で、……私もすっかり零落れてしまいましたよ。」
「でも結構なお商売ですよ。」
「は、この方はね、好きの道だものですから、まあぽつぽつやっているんですよ。そのうちまた此奴の体を売るようなことになりゃしないかと思っていますがね。」
「もう駄目ですよ。」
「あの人随分変ったわね。頭顱の地が透けて見えるようになったわ。」
「ああすっかり相が変ってしまったよ。更けて困る困ると言っちゃ、自分でも気にしているの。それに私もっと、あの社会で幅が利くんだと思っていたら、からきし駄目なのよ。以前世話したものが、皆な寄りつかなくなっちゃったくらいだもの。」
「でも何でも出来るから、いいじゃないの。」
「いいえ、どれもこれも生噛りだから駄目なのよ。でも、こんな商業をしていれば、いろいろな家へ出入りが出来るから、そこで仕事にありつこうとでもいうんでしょう。それもどうせいいことはしやしないのさ。」
「それから見れば、お増さんなぞは僥倖だよ。せいぜい辛抱おしなさいよ。」


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