GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 徳田秋声 『足迹』
現代語化
「いいえ」
「何か失敗でもしたのか?」
「いいえ」
「それじゃあ向うが嫌で逃げ出してきたのか?逃げ出してきたって、お前ん家はもう東京にないぞ」
「それにあそこは父親がちゃんと話をつけて預けてきたものだから、出るなら出るで、またその話をしないとダメだ。お前は黙って出てきちゃったのか?」
「…………」
「そんなことしちゃいけないよ。向こうも心配してるだろうに」
「家へ帰ってもいいことないし、どうして浅草で我慢しないんだよ。銀行に預けたお金はまだあるって言ってたじゃないか」
原文 (会話文抽出)
「小言でも言われただかい。」
「いいえ。」
「何か失敗でもしたろ。」
「いいえ。」
「それじゃあすこが厭で逃げて来ただかい。逃げて来たって、お前の家はもう東京にゃないぞえ。」
「それにあすこはお父さんが、ちゃんと話をつけて預けて来たものだで、出るなら出るで、またその話をせにゃならん。お前は黙って出て来ただかい。」
「…………。」
「そんなことしちゃよくないわの。向うも心配しているだろうに。」
「家へ帰ったっていいこともないに、どうして浅草で辛抱しないだえ。銀行へ預けた金もちっとはあるというではないかい。」