田山花袋 『蒲団』 「芳子、暫くじゃッたのう……体は丈夫かの?…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田山花袋 『蒲団』

現代語化

「芳子、久しぶりだなあ……元気かい?」
「お父さん……」
「今度来るとき……」
「佐野と御殿場だったか、電車が故障してね、2時間くらい待ったよ。機関車が爆発しちゃったんだ」
「それは……」
「全速力で走ってたんだけど、すごい音がしたと思ったら、電車がものすごい勢いで傾いてだんだん逆方向に走って行ってさ、びっくりしたよ。機関車が爆発して機関士が2人くらい即死したんだって……」
「それは危なかったな」
「沼津から機関車を持ってくるまで2時間も待ったんだ。その間もね、考えたんだよ……このせいで東京に行く途中で事故に遭ったら、芳(今度は娘の方を見て)、お前も兄弟に申し訳が立たないなって」
「それは危なかったね。でもケガもなく無事だったみたいでよかった」
「うん、まあね」
「お父さん、家ではみんな変わりはないですか?」
「うん、みんな元気だよ」
「お母さんも……」
「うん、今回も私が忙しいから、お母さんに来てもらうように言ったんだけど、やっぱり私が来たほうがいいと思って……」
「お兄さんも元気ですか?」
「うん、あいつも最近少し落ち着いてきた」

原文 (会話文抽出)

「芳子、暫くじゃッたのう……体は丈夫かの?」
「お父さま……」
「今度来ます時に……」
「佐野と御殿場でしたかナ、汽車に故障がありましてナ、二時間ほど待ちました。機関が破裂しましてナ」
「それは……」
「全速力で進行している中に、凄じい音がしたと思いましたけえ、汽車が夥しく傾斜してだらだらと逆行しましてナ、何事かと思いました。機関が破裂して火夫が二人とか即死した……」
「それは危険でしたナ」
「沼津から機関車を持って来てつけるまで二時間も待ちましたけえ、その間もナ、思いまして……これの為めにこうして東京に来ている途中、もしもの事があったら、芳(と今度は娘の方を見て)お前も兄弟に申訳が無かろうと思ったじゃわ」
「それは危険でした。それでも別にお怪我もなくって結構でした」
「え、まア」
「お父様、家では皆な変ることは御座いません?」
「うむ、皆な達者じゃ」
「母さんも……」
「うむ、今度も私が忙しいけえナ、母に来て貰うように言うてじゃったが、矢張、私の方が好いじゃろうと思って……」
「兄さんも御達者?」
「うむ、あれもこの頃は少し落附いている」


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