田山花袋 『蒲団』 「然し、君、解ったら、そうしたら好いじゃあ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田山花袋 『蒲団』

現代語化

「でも、わかればそれでいいじゃん。俺はあんたの将来を考えて言ってるんだ。芳子は俺の弟子だ。俺の責任として、芳子を中退させるのは忍びない。あんたがどうしても東京にいるって言うなら、芳子を田舎に帰すか、この関係を親に打ち明けて許可をもらうか、どっちか選んでくれ。あんたは自分の好きな女を自分のために田舎に埋もれさせるほどエゴイストじゃないでしょ。あんたは宗教を続けるのが嫌になったって言うけど、それは一時的な考えだ。あんたは我慢して京都にいれば、すべてうまくいって、二人とも将来に希望が持てるんだからさ」
「わかります……」
「でもできますか?」
「ごめんなさいけど……制服も帽子も売っちゃったんで、今更帰れません……」
「じゃ、芳子を田舎に帰しますか?」
「田舎に帰してもらいますか?」
「俺が東京に来たのは、そういうことには関わりたくないと思ってたんだ。別にこっちにいても、二人にはどうということは……」
「それはあんたがそう言うだけでしょう。そんなんじゃ俺には指導できない。恋っていつ惑わされるかわからないんだ」
「そんなことしませんけど」
「誓えますか?」
「ちゃんと勉強していれば、そんなことしないですよ」
「だから困るんです」<ctrl100>

原文 (会話文抽出)

「然し、君、解ったら、そうしたら好いじゃありませんか、僕は君等の将来を思って言うのです。芳子は僕の弟子です。僕の責任として、芳子に廃学させるには忍びん。君が東京にどうしてもいると言うなら、芳子を国に帰すか、この関係を父母に打明けて許可を乞うか、二つの中一つを選ばんければならん。君は君の愛する女を君の為めに山の中に埋もらせるほどエゴイスチックな人間じゃありますまい。君は宗教に従事することが今度の事件の為めに厭になったと謂うが、それは一種の考えで、君は忍んで、京都に居りさえすれば、万事円満に、二人の間柄も将来希望があるのですから」
「よう解っております……」
「けれど出来んですか」
「どうも済みませんけど……制服も帽子も売ってしもうたで、今更帰るにも帰れまえんという次第で……」
「それじゃ芳子を国に帰すですか」
「国に言って遣りましょうか」
「私の東京に参りましたのは、そういうことには寧ろ関係しない積でおます。別段こちらに居りましても、二人の間にはどうという……」
「それは君はそう言うでしょう。けれど、それでは私は監督は出来ん。恋はいつ惑溺するかも解らん」
「私はそないなことは無いつもりですけどナ」
「誓い得るですか」
「静かに、勉強して行かれさえすれァナ、そないなことありませんけどナ」
「だから困るのです」


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