田中貢太郎 『西湖主』 「私は旅の者で、まだ一度もお目みえしたこと…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『西湖主』

現代語化

「私は旅人で、お会いしたこともないのに、大切なハンカチを汚してしまい、罪を許していただければ幸いです。結婚を許していただくなんて思いもよりません」
「私の母は、湖君の妃です。つまり江陽王の娘です。去年帰省の途中で、湖で遊んでいたときに流矢に当たり、あなたに助けていただきました。さらに怪我の薬までいただき、一族皆があなたの恩に感謝しております。どうか私が人間ではないと疑わないでください。私は龍王に従って長生の術を授かっています。あなたと生涯を共にしましょう」
「なぜそんなに詳しいんですか?」
「あの日洞庭湖にいた、尾をくわえた小さな魚が私です」
「殺すつもりもなかったのに、なぜぐずぐずして早く赦してくれなかったんですか?」
「あなたを愛していたんですが、自分勝手に行動することができず、一晩中心配していました。それは他の人が知らない秘密ですから」
「あなたは僕にとっての鮑叔ですね。そして、あの食べ物を持ってきてくれたのは誰ですか?」
「阿念です。彼も私の腹心です」
「何で私に恩返ししてくれるんですか?」
「あなたをずっと待っていました。これから責めを負うようにしても遅くはないでしょう」
「大王はどこにいるんですか?」
「関帝に従って蚩尤を征伐しに行って、まだ戻っていません」

原文 (会話文抽出)

「私は旅の者で、まだ一度もお目みえしたこともないうえに、大切な巾を汚して、罪をのがれることができたなら幸いだと思っていたのです、結婚を許していただくとは思いもよらないことです」
「私の母は、湖君の王妃でございます、すなわち江陽王の女でございます。昨年里がえりをする途で、湖の上で游んでいて、流矢に中って、あなたによって脱れることができました、そのうえに金創の薬までいただきました、一門は皆あなたの御恩を感謝しております、どうか人間でないということで疑わないようにしてくださいまし、私は龍君に従うて長生の術を授けられております、あなたと生涯を共にしましょう」
「きみは、どうしてそれを精しく知っているのです」
「あの日洞庭で、小さな魚がいて、尾を銜んでいたでしょう、それがこの私です」
「殺しもしないのに、なぜぐずぐずして早く赦してくれなかったのです」
「あなたを愛しておりましたが、ただ自分勝手にできないものですから、一晩中心配しておりました、他の人の知らないことですから」
「きみは、僕のための鮑叔だ、そして、あの食物を持ってきてくれた者は、何人ですか」
「阿念といいます、これも私の腹心の者です」
「何をもって私に報いてくれます」
「あなたを長いことお待ちしました、これから責めをふさぐようにしても、おそくはないでしょう」
「大王は何所にいらっしゃるのです」
「関帝に従って蚩尤の征伐に往って、まだ帰りません」


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