田中貢太郎 『愛卿伝』 「おい、爺じゃないか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『愛卿伝』

現代語化

「おい、爺さんじゃないか」
「ど、旦那様じゃございませんか」
「ああ、俺だよ」
「爺さん、聞きたいんだけど、家のお母さんと嫁さんは、どこにいる?知らないのかい?」
「旦那様は、まだご存じないのですか」
「知らないよ。どうした?お母さんと嫁さんは、どうしちゃったんだよ」
「旦那様、大変なことになってます」
「どうした?早く言ってくれよ」
「旦那様、びっくりしないでください。奥様は病気で亡くなりました。若奥様は苗軍の盗人に襲われて、亡くなりました。お伝えしようがありません」
「旦那様、しっかりしてください。奥様が病気になると、若奥様は夜も眠らずにお世話をされました。亡くなられてからも、若奥様はほとんど一人で、お墓まで作られました。でも、苗軍がやって来て、劉万戸という盗人が、若奥様を見初めて襲いました。若奥様は部屋に入って亡くなりました」
「そうなのか。俺が旅に出たばっかりに、こんなことになっちゃった。俺が悪いよ。爺さん、俺はバカだ」
「これは若奥様が植えたものです」
「これは若奥様が自分で作られたものです」

原文 (会話文抽出)

「おい、爺じゃないか」
「だ、旦那様じゃございませんか」
「ああ、俺だよ」
「爺や、お前に聞きたいが、家のお母さんと家内は、どこにいるだろう、お前は知らないのか」
「旦那様は、まだ御存じがないのですか」
「知らない、どうした、お母さんと家内は、どうしたというのだ」
「旦那様、えらいことが出来ております」
「どうした、早く言ってくれ」
「旦那様、びっくりなされちゃいけません、大奥様は御病気でお亡くなりになりますし、若奥様は苗軍の盗人のために、迫られて亡くなられました、なんとも申しあげようがございません」
「旦那様、しっかりなすってくださいませ、大奥様が御病気になりますと、若奥様が夜も睡らないで御介抱なさいました、お亡くなりになってからも、若奥様がほとんどお一人で、お墓までおこしらえになりましたが、苗軍がやってきて、劉万戸という盗人が、若奥様を見染めて、迫りましたので、若奥様は閤へ入ってお亡くなりなさいました」
「そうか、俺が旅に出たばかりに、こんなことになった、俺が悪い、爺や俺は馬鹿者だ」
「これは若奥様のお植えになったものでございます」
「これも若奥様が御自身でお造りになりました」


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