GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『金鳳釵記』
現代語化
「どなたですか、入ってください」
「あなたはどなたですか?」
「あたし、ケイよ。さっき、肩車から髪飾り落としたの。あなた、拾ってくれたんでしょ?」
「拾いましたよ。すぐ走って届けようと思ったんですけど、門が閉まってたから、朝にお届けしようと思って持ってました」
「あなた」
「お嬢さん、悪いんですけど、私はお父さんにすごい恩があるんです。もしお父さんに、ここにいるところを見られたらマズいんで、どうか放してください」
「私はお父さんに恩があるんです。どうか私と一緒に帰ってください」
「帰りませんよ。私をここに連れてきたのは誰ですか?あなたでしょ?私は帰りませんよ」
「困りますよ、そんなこと言ったら。お父さんの耳に入ったら大変じゃないですか」
「でも、あなたが連れてきたんでしょ?連れてきておいて、帰れってひどくないですか?」
「そんな、そんな大きな声出されると困ります」
「困るなら、私とどこかに行きましょう。嫌ならこれから帰って、あなたが私を連れ出したって、お父さんにチクってやりますよ」
原文 (会話文抽出)
「どなたです」
「どなたです、お入りなさい」
「あなたはどなたです」
「わたし、慶よ、さっき、肩輿の中から釵を落したのよ、あなた、あれを拾ってくだすって」
「拾ってあります、すぐ追っ駈けて往って、お渡ししようとしましたが、御門が締りましたから、朝お届けしようと思いまして、持っております」
「あなた」
「お嬢さん、甚だなんでございますが、私はお父さんに大恩がございます、もしお父さんに、こうしている処を見られましたなら、申しわけのないことになります、どうか放してください」
「私はお父さんに大恩があります、どうか私のために帰ってください」
「帰りませんよ、わたしをここへ連れてきたのは何人です、あなたじゃありませんか、わたしは帰りませんよ」
「困りますよ、そんなことをおっしゃっては、お父さんの耳へ入ったら、大変じゃありませんか」
「でも、あなたが連れてきたのじゃありませんか、連れてきといて、帰れとはひどいじゃありませんか」
「そんな、そんな大きな声をされては困ります」
「それが困るなら、わたしと彼方へ参りましょう、お厭ならこれから帰って、あなたが、わたしを連れ出したと、お父さんに言いつけますわ」