田中貢太郎 『雷峯塔物語』 「姐さん、この間のことを、兄さんと相談して…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『雷峯塔物語』

現代語化

「お姉さん、この間の話、兄貴と相談したんですか?」
「まだしてないよ」
「どうしてしてくれないんですか?」
「兄貴が忙しかったからだよ」
「忙しかったんじゃなくて、兄貴は私が結婚したら金がかかると思って逃げてるんじゃないですか。金のことなら大丈夫ですよ。あるから」
「お金のことなら兄貴に迷惑はかけません。ただ親になって、結婚式を挙げてもらえればいいんです」
「変ね。あなたは誰かの奥さんと結婚するのじゃないの?まあいいわ。私がこれ預かっておくから、兄貴が帰ってきたら話してみる」
「あれは、何人かとお約束したもので、親になって結婚式を挙げてもらえればいいんです。早く結婚式をしないと」
「じゃあ、このお金は奥さんからもらったの?」
「た、大変だ」
「何でそんなにびっくりするんですか?」
「このお金は邵大尉の倉庫のお金だ。盗まれたお金なんだ。倉庫の中にあったお金が50錠なくなってるんだ。封印はそのままなのに、中の金がなくなってるんだ。臨安府では50両の賞金をかけて、犯人を見つけようとしてるんだ。宣には悪いけど、仕方ない。我が家から訴え出るよ。これが外に知れたら、一家全員首が飛ぶ。これは大変なことになった」

原文 (会話文抽出)

「姐さん、この間のことを、兄さんと相談してくれましたか」
「まだしてないよ」
「なぜしてくれないのです」
「兄さんが忙しかったからね」
「忙しいよりも、兄さんは、私が婚礼すると、金がかかると思って、それで逃げてるのじゃないでしょうか、金のことなら大丈夫ですよ、ありますから」
「一銭も兄さんに迷惑はかけませんよ、ただ親元になって、儀式をあげてもらえばそれでいいのですよ」
「おかしいね、お前はどっかのお婆さんと婚礼するのじゃないかね、まあいいわ、私がこれを預ってて、兄さんが帰ってきたなら、話をしよう」
「あれは、何人かと約束しているのですよ、親元になって、儀式さえあげてやればいいのですよ、早く婚礼をさそうじゃありませんか」
「じゃ、この金は、女の方からもらったのだね」
「た、たいへんだ」
「何を、そんなにびっくりなさるのです」
「この金は、邵大尉の庫の金だ、盗まれた金なのだ、庫の内へ入れてあった金が、五十錠なくなっているのだ、封印はそのままになってて、内の金がなくなっているのだ、臨安府では五十両の賞をかけて、その盗人を探索しているところなのだ、宣には気の毒だがしかたがない、我家から訴えて出よう、これが他から知れようものなら、一家の者は首がない、こいつは豪いことになったものだ」


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