GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『狼の怪』
現代語化
「お嬢さん、お客さんにも挨拶しなさい」
「お嬢さんは本当に寝相が悪いんです。でもよく考えると、お嬢さんはかわいそうよね。お父さんは立派な方だったけど、お嬢さんが生まれたばかりのとき、この山にこもってしまって。それから間もなくお父さんもお母さんも亡くなってしまって、私がこうして一人で面倒を見ているんです」
「お嬢さんはもう17歳だから、いいところがあれば嫁に出したいと思っているんです。そうすれば私の負担も減るけど、女手だけじゃ思い通りにならないから困ってます。そういう時は、何人か頼りになる男性の友達が欲しいなと思います」
「そうですか。大変でしたね」
「いえ、私も力不足ながら、お父さんとお母さんに恩返しをしたいと思ってやっていますから、大変だとは思いません。ただ、たまに女ばっかりだと困るので、あなたのような若いしっかりした友達がいたらいいなと思います。縁があれば、これから友達になってください」
「私でよければ、これからなんでもしましょう」
「私は親も兄弟もいない独身者で、自由に動けます」
「じゃあ、どこに住んでいてもいいんですよね?」
「そうです。どこに住んでもいいんです」
「じゃあ、私たちと一緒に住みませんか?」
「いいですよ」
原文 (会話文抽出)
「さあ、どうぞ、おあがりくださいまし、私達も遠慮なしにいただいております」
「お嬢さん、お客さんにも、お愛想をなさるものですよ」
「お嬢さんはほんとにねんねえでございますからね、でも考えてみますと、お嬢さんはお気の毒でございますよ、旦那様は立派な方でございましたが、都合があってお嬢さんが生れたばかりの時、この山へお入りになりましたが、間もなく旦那様も奥様もお嬢様を残して、お歿くなりになりましたから、私がこうして一人でお世話をしております」
「お嬢さんは、もう十七でございますから、よい処がございますなら、嫁づけたいと思います、そうなれば、私の重荷もおりますが、女の手では、思うようにならないで困っております、ほんとにそういう場合には、何人かしっかりした男のお友達が欲しいと思います」
「そうですか、それはたいへんでしたね」
「なに、私もおよばずながら、旦那様と奥様に、御恩報じをいたしたいと思うてやっておることでございますから、苦しいとも何とも思いませんが、時たま、女ばかしでは困るので、貴方のような、若いしっかりしたお友達があるならいいがと、思うことがあります、どうかこれを御縁に、これからお友達になってくださいまし」
「私でかまわなければ、これからどんなことでもいたしましょう」
「私は、親もない兄弟もない、独身者の自由な体だ」
「では、どこにいらしてもかまわないのですね」
「そうですとも、どこにおってもかまわないのです」
「では、私達といっしょにいらしてくださいませんか」
「いいですとも」