田中貢太郎 『賈后と小吏』 「突然、こんなことを申しましてはすみません…

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青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『賈后と小吏』

現代語化

「「いきなりこんなこと言ってすみませんけど、私は家に病人があるんですけど、町に行って占い師に診てもらったら、若い男性に頼んでイフクしてもらえばきっとよくなるって言われたんです。もしよくなったら、絶対に恩返しします。私の家まで来ていただくことはできませんか?」
「イフクってなんですか?」
「なんでもない、ちょっとしたことなんです。家まで来ていただければ、すぐわかります」
「私ができることなら、行ってもいいですけど」
「ありがとうございます。お願いします」
「どちらですか?」
「すぐです。車を持ってますから」」

原文 (会話文抽出)

「突然、こんなことを申しましてはすみませんが、私は家に病人があるものでございますが、市へ往って売卜にみてもらいますと、若い男の方にお願いして、厭伏をしていただくと、きっと良くなると言われました、もし良くなりましたら、きっとお礼をいたします、どうか私の家まで御足労が願えないでしょうか」
「厭伏ってどんなことですか」
「なんでもない、ちょいとしたことなのです、家へいらしてくださいますなら、すぐ解ります」
「私で能ることなら、往っても良いのですが」
「それはどうも有難うございます、どうかお願いいたします」
「何方ですか」
「すぐですが、車を持っておりますから」

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