田中貢太郎 『蟇の血』 「さあ、ちょっとここへかけてくださいよ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 田中貢太郎 『蟇の血』

現代語化

「「さあ、ちょっとここに座ってくださいよ」
「何ですか」
「そんなに嫌がらないでくださいよ」
「何ですか」
「まあ、そんなこと言わないでくださいよ。あなたには、家の奥さんの気持ちがわかりますよね?」
「何ですか?僕にはぜんぜんわかりませんけど」
「そんな嫌なことを言わないでくださいよ。奥さんは、一人で寂しがってるんですから、今夜、相手をしてあげてくださいよ。こうしてお金がいくらでもある方なんだから、あなたの都合で、何でもできるんですよ」
「ダメですよ。僕はちょっと都合があるんですから」
「海外旅行でも何でも、あなたの好きなことができるじゃないですか。僕の言うことを聞いてくださいよ」
「それはダメですよ」
「あなたは欲がないですね」
「どう考えても、僕はそんなことはできません」
「お顔がだって、あんなに美しい方はなかなかいないですよ。いいじゃないですか。僕の言うことを聞いてくださいよ」
「それはどう考えてもダメですよ」
「まあ、そんなこと言わないで、あっちに行きましょう。僕の言うことを聞いてくださいよ。悪いことはありませんから」
「ダメです。僕はそんなことはイヤです」
「いいじゃないですか。年上の言うことを聞くものですよ」
「ダメですよ」
「あなたは嫌いですよね」」

原文 (会話文抽出)

「さあ、ちょっとここへかけてくださいよ」
「なんですか」
「そんなに邪見になさるものじゃありませんよ」
「なんですか」
「まあ、そんなにおっしゃるものじゃありませんよ、あなたは、家の奥さんの心がお判りになったのでしょう」
「なんですか、僕にはどうも判らないのですが」
「そんな邪見なことをおっしゃらずに、奥さんは、お一人で淋しがっていらっしゃいますから、今晩、お伽をしてやってくださいましよ、こうして、お金が唸るほどある方ですから、あなたの御都合で、どんなことでも出来るのですよ」
「だめですよ、僕はすこし都合があるのですから」
「洋行でもなんでも、あなたの好きなことができるのじゃありませんか、私の云うことを聞いてくださいよ」
「それはだめですよ」
「あんたは慾を知らない方ね」
「どうしても、僕はそんなことはできないのです」
「御容色だって、あんなきれいな方はめったにありませんよ、好いじゃありませんか、私の云うことを聞いてくださいよ」
「そいつはどうしてもだめですよ」
「まあ、そんなことはおっしゃらずに、あちらへまいりましょう、私のことを聞いてくださいよ、悪いことはありませんから」
「だめです、僕はそんなことは厭だ」
「好いじゃありませんか、年よりの云うことを聞くものですよ」
「だめですよ」
「あんたは邪見、ねえ」


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