GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『アグニの神』
現代語化
「占いですか？ 占いはずっとやってませんよ」
「この頃はお礼もろくにしない人が多いからです」
「もちろんお礼するよ」
「とりあえずこれだけもらっとくよ。もし当たれば、また別にお礼するから」
「こんなにたくさんもらっては、逆に恐縮です。で、何を占ってほしいですか？」
「俺が占ってほしいのは、――」
「日米戦争がいつあるかってことなんだ。それが分かれば、商人としてはすぐに大金が稼げるからね」
「じゃ、明日来てください。それまで占っておきます」
「おう、間違いないように」
「私の占いは50年以上やって一度も外したことはありません。だって私の占い、アグニの神様本人がお告げになるんですから」
「ヘレン。ヘレン」
原文 (会話文抽出)
「実は今度もお婆さんに、占ひを頼みに来たのだがね、――」
「占ひですか？ 占ひは当分見ないことにしましたよ。」
「この頃は折角見て上げても、御礼さへ碌にしない人が、多くなつて来ましたからね。」
「そりや勿論御礼をするよ。」
「差当りこれだけ取つて置くさ。もしお婆さんの占ひが当れば、その時は別に御礼をするから、――」
「こんなに沢山頂いては、反つて御気の毒ですね。――さうして一体又あなたは、何を占つてくれろとおつしやるんです？」
「私が見て貰ひたいのは、――」
「一体日米戦争はいつあるかといふことなんだ。それさへちやんとわかつてゐれば、我々商人は忽ちの内に、大金儲けが出来るからね。」
「ぢや明日いらつしやい。それまでに占つて置いて上げますから。」
「さうか。ぢや間違ひのないやうに、――」
「私の占ひは五十年来、一度も外れたことはないのですよ。何しろ私のはアグニの神が、御自身御告げをなさるのですからね。」
「恵蓮。恵蓮。」