芥川龍之介 『俊寛』 「成経様や康頼様が、御話しになった所では、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『俊寛』

現代語化

「成経さんとか康頼さんって、この島の地元の人って冷たくて怖いって言ってましたけど」
「そう思うのも当然だけど、俺たち全員都の人間なんだよ。田舎の人って昔も今も、都から来たら頭下げるじゃない? 業平とか実方とか、あの辺もみんな一緒でしょ? ああいう人も俺みたいに東とか陸奥に行っても、意外と旅を楽しんでたかもしれないよ」
「でも実方は、亡くなった後も都恋しさから雀になって台所に出没したとか言われてますよね?」
「そんな噂を流したのは、あなたと同じ都の人間だよ。鬼界島の人って言ったら鬼みたいだって思う都人さ。だからそれも当てにならないよ」

原文 (会話文抽出)

「成経様や康頼様が、御話しになった所では、この島の土人も鬼のように、情を知らぬ事かと存じましたが、――」
「なるほど、都にいるものには、そう思われるに相違あるまい。が、流人とは云うものの、おれたちは皆都人じゃ。辺土の民はいつの世にも、都人と見れば頭を下げる。業平の朝臣、実方の朝臣、――皆大同小異ではないか? ああ云う都人もおれのように、東や陸奥へ下った事は、思いのほか楽しい旅だったかも知れぬ。」
「しかし実方の朝臣などは、御隠れになった後でさえ、都恋しさの一念から、台盤所の雀になったと、云い伝えて居るではありませんか?」
「そう云う噂を立てたものは、お前と同じ都人じゃ。鬼界が島の土人と云えば、鬼のように思う都人じゃ。して見ればこれも当てにはならぬ。」


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