GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『帰去来』
現代語化
「出たわけじゃないでしょ。」
「それは、お兄さんの立場としては、まだ許すわけにはいかない。だからそれはそれとして、私の一存であなたを連れて行くんです。大丈夫ですよ。」
「危ないな。」
「そのまま出かけて行って、玄関払いでも食らったら大騒ぎになるから、それもまずいと思うんだよね。もう少し、このままそっとしておきたいな。」
「そんなことないですよ。」
「私が連れて行ったら大丈夫。考えてもみてよ。失礼な話だけど、向こうのお母さんももう七十ですよ。この頃、すごく衰弱したらしい。いつどうなるかわからないよ。そのときに、このままの関係だとまずい。面倒なことになるよ。」
「そうですね。」
「でしょ？だから、今この機会に私が連れて行きますから、ご家族に会っておきなさい。一度会っておくと、何かあったときにあなたも気楽に家に行けるでしょ。」
「そんなにうまくいくといいんですけどね。」
原文 (会話文抽出)
「兄さんから、おゆるしが出たのですか？」
「出たわけじゃ無いんでしょう。」
「それは、兄さんの立場として、まだまだ、ゆるすわけにはいかない。だから、それはそれとして、私の一存であなたを連れて行くのです。なに、大丈夫です。」
「あぶないな。」
「のこのこ出掛けて行って、玄関払いでも食わされて大きい騒ぎになったら、それこそ藪蛇ですからね。も少し、このまま、そっとして置きたいな。」
「そんな事はない。」
「私が連れて行ったら、大丈夫。考えてもごらんなさい。失礼な話ですが、おくにのお母さんだって、もう七十ですよ。めっきり此頃、衰弱なさったそうだ。いつ、どんな事になるか、わかりやしませんよ。その時、このままの関係でいたんじゃ、まずい。事がめんどうですよ。」
「そうですね。」
「そうでしょう？ だから、いま此の機会に、私が連れて行きますから、まあ、お家の皆さんに逢って置きなさい。いちど逢って置くと、こんど、何事が起っても、あなたも気易くお家へ駈けつけることが出来るというものです。」
「そんなに、うまくいくといいけどねえ。」