芥川龍之介 『将軍』 「この壁にある画だね、これはお前が懸け換え…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『将軍』

現代語化

「この壁にある絵だね、これはお前が掛け替えたのかい?」
「ええ、まだ申してませんでしたが、今朝僕が掛け替えたんです。いけませんか?」
「いけないことはない。いけないことはないがね、N閣下の額だけは掛けておきたい、と思う」
「この中ですか?」
「この中へ掛けてはいけないかね?」
「いけないと言うこともありませんが、――でもそれはおかしいでしょう」
「肖像画はあそこにもあるようじゃないか?」
「あれは別です。N将軍と一緒にするのはなりません」
「そうか? じゃ仕方がない」
「お前は、――と言うよりもお前の年輩の者は、閣下をどう思ってるね?」
「別にどうとも思ってません。まあ、偉い軍人でしょう」
「それは偉い軍人だがね、閣下はまた実に長者らしい、人懐こい性格も持っていられた。……」

原文 (会話文抽出)

「この壁にある画だね、これはお前が懸け換えたのかい?」
「ええ、まだ申し上げませんでしたが、今朝僕が懸け換えたのです。いけませんか?」
「いけなくはない。いけなくはないがね、N閣下の額だけは懸けて置きたい、と思う。」
「この中へですか?」
「この中へ懸けてはいけないかね?」
「いけないと云う事もありませんが、――しかしそれは可笑しいでしょう。」
「肖像画はあすこにもあるようじゃないか?」
「あれは別です。N将軍と一しょにはなりません。」
「そうか? じゃ仕方がない。」
「お前は、――と云うよりもお前の年輩のものは、閣下をどう思っているね?」
「別にどうも思ってはいません。まあ、偉い軍人でしょう。」
「それは偉い軍人だがね、閣下はまた実に長者らしい、人懐こい性格も持っていられた。……」


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