太宰治 『走れメロス』 「ああ、メロス様。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『走れメロス』

現代語化

「ああ、メロスさん。」
「誰だ?」
「フィロストラトスです。あなたのお友達セリヌンティウスさんの弟子です。」
「もうダメです。無駄です。走るのをやめてください。もう、あの方を助けることはできません。」
「いや、まだ日没してない。」
「ちょうど今、あの方が処刑されるんです。ああ、あなたは遅かった。恨みます。ほんの少し、もう少し早かったら!」
「いや、まだ日没してない。」
「やめてください。走るのをやめてください。今はあなたのご自分の命が大事です。あの方はあなたを信じていました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様がさんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ち続けている様子でした。」
「それだから走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わないは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私は、なんだかもっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。ついて来い、フィロストラトス。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。だったら、思いっきり走ればいい。もしかしたら間に合うかもしれない。走るがいい。」

原文 (会話文抽出)

「ああ、メロス様。」
「誰だ。」
「フィロストラトスでございます。貴方のお友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」
「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ。」
「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」
「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」


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