高村光雲 『佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし』 「大きな大仏をこしらえるというのは、大仏を…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 高村光雲 『佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし』

現代語化

「大きな大仏を作るというのは、大仏を作って見物客を胎内に入れる趣向なんです。どうせ何かやるにしても小屋を作らなきゃいけないけど、その小屋を大仏の形で作って、大仏を呼び込みに使うというのがアイデアなんです。大仏の姿が屋根にも壁にもなって、中は胎内めぐりになってて、膝の方から登ると、左右の脇の下が明かり取りになってて、そこから一度外に出て、印を結んでいる仏様の手の上に人が出られる。そこに立ってあたりを見回すんです。外から見ると、人間が何人も大仏様の右の脇の下から出てきて、手の上を通って、左の脇の下に入っていくのが見えます。それから中の階段を回りながら登っていくと、頭の中になって広さは2畳くらい、そこには目の穴、耳の穴、口の穴、それに後頭部に窓があって、そこから人間が顔を出してあたりを見回すと、江戸中が一望できます。高さは4丈8尺くらいだから、たいていのところは見えます。人間の5、6人は頭の中に入れるようにして、見物客の代わりに、双眼鏡なんかを置いていろいろ見せて、客を追い出すんです。降りてくると胴体の広いところに珍しい道具とかを並べて、それに因縁をつけて、何か面白いことをするんです。この前笑覧会というのがあって、阿波の鳴門の鳴り弓が泣いたとか言って、瓶に入れたものを見せるなんてのはつまらない。もっと面白いことをするんです……」
「……それで最後の見せ物に閻魔様まで躍らせて、地獄も最近は暇だなんてのをやるかな……なるほど、これは面白そうだ」
「大仏が小屋の代わりになるのが一番面白い。それで中身が使えるとは一柄二鳥だ。これは発明だ」
「野見さん、どうですか。高村さんのこの大仏というアイデアは……名案じゃないですか」
「そうですね。趣向としては大いに賛成です。でも、実際にやるとなると、問題は金ですね、お金次第だ。親父に一度話してみましょう」

原文 (会話文抽出)

「大きな大仏をこしらえるというのは、大仏を作って見物を胎内へ入れる趣向なんです。どのみち何をやるにしても小屋をこしらえなくてはならないが、その小屋を大仏の形でこしらえて、大仏を招きに使うというのが思いつきなんです。大仏の姿が屋根にもかこいにもなるが、内側では胎内潜りの仕掛けにして膝の方から登って行くと、左右の脇の下が瓦灯口になっていてここから一度外に出て、印を結んでいる仏様の手の上に人間が出る。そこへ乗って四方を見張らす。外の見物からは人間が幾人も大仏さまの右の脇の下から出て、手の上を通って、左の脇の下へ入って行くのが見える。それから内部の階段を曲がりながら登って行くと、頭の中になって広さが二坪位、ここにはその目の孔、耳の孔、口の孔、並びに後頭に窓があって、そこから人間が顔を出して四方を見張らすと江戸中が一目に見える。四丈八尺位の高さだから大概の処は見える。人間の五、六人は頭の中へ入れるようにして、先様お代りに、遠眼鏡などを置いて諸方を見せて、客を追い出す。降りてくると胴体の広い場所に珍奇な道具などを並べ、それに因縁をつけ、なにかおもしろい趣向にして見せる。この前笑覧会というものがあって、阿波の鳴戸のお弓の涙だなんて壜に入れたものを見せるなどは気が利かない。もっと、面白いことをして見せるのです……」
「……そうして切の舞台に閻魔さまでも躍らして、地獄もこのころはひまだという有様でも見せるかな……なるほど、これは面白そうだ」
「大仏が小屋の代りになるところが第一面白い。それで中身が使えるとは一挙両得だ。これは発明だ」
「野見さん、どうです。高村さんのこの大仏という趣向は……名案じゃありませんか」
「左様ですな。趣向は至極賛成です。だが、いよいよやるとなると、問題は金ですね、金銭次第だ。親父に一つ話してみましょう」


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