GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『早春』
現代語化
「ふん、バカるのが一番バカだな」
「お前はもう帰っちゃうのか。爬虫類の標本室はがらんとしてる。そこに、――時間はすぐ立たない。まだ午後3時15分くらいだな、そこに顔の青白い女子学生が1人入ってくる。もちろん看守も誰もいない。女子学生はヘビやトカゲの中にいつまでもじっと立ってる。あそこはけっこう薄暗いんだろう。そうこうしてるうちに薄暗くなってくる。閉館の時間も迫ってくる。でも女子学生は相変わらずいつまでもじっと立ってる。――と考えれば小説だけどな。たいして面白い小説でもないけど。三重子はいいとしても、お前を主人公にしてたら……」
「三重子も残念ながら太ってるんだよ」
「お前よりか?」
「バカ言え。俺は23貫500匁あるんだ。三重子は確か17貫くらいだったと思う」
原文 (会話文抽出)
「莫迦だね、俺は。」
「ふん、莫迦がるのが一番莫迦だね。」
「君はもう帰ってしまう。爬虫類の標本室はがらんとしている。そこへ、――時間はいくらもたたない。やっと三時十五分くらいだね、そこへ顔の青白い女学生が一人はいって来る。勿論看守も誰もいない。女学生は蛇や蜥蜴の中にいつまでもじっと佇んでいる。あすこは存外暮れ易いだろう。そのうちに光は薄れて来る。閉館の時刻もせまって来る。けれども女学生は同じようにいつまでもじっと佇んでいる。――と考えれば小説だがね。もっとも気の利いた小説じゃない。三重子なるものは好いとしても、君を主人公にしていた日には……」
「三重子も生憎肥っているのだよ。」
「君よりもか?」
「莫迦を言え。俺は二十三貫五百目さ。三重子は確か十七貫くらいだろう。」