島崎藤村 『夜明け前』 「さあ、早くさしたり。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「さあ、早く差し込めよ。」
「待って。」
「いつまでそんなこと考えてんだよ。」
「手には。」
「角桂に、歩が六枚。」
「待って」
「先生も、将棋とかやったらいいのに。」
「いいも悪いもねえよ。」
「本当、うちは趣味のない人ですね。弓をやるわけでも、鳥を飼うわけでもなくて、暇さえあれば机に向かって本ばっかり読んでる。この間は気がふさいでしかたがないって言ってたから、どうしたんですか?って聞いてみたの。そしたら、こう座ってると周りが暗くなってくるんだって――暗い、暗いって、よくそんなこと言うわよ。」

原文 (会話文抽出)

「さあ、早くさしたり。」
「待った。」
「いつまでそんなに考え込むんだ。」
「手には。」
「角桂に、歩が六枚。」
「待った」
「お師匠さまも、あれで将棋でもなさると、いいがなあ。」
「いいがなあのようなことだ。」
「ほんとに、うちは道楽というもののすくない人ですね。弓をやるじゃなし、鳥屋に凝るじゃなし、暇さえあれば机に向かって本を読んでばかり。この節は気がふさいでしかたがないと言いますから、どんなふうに気分が悪いんですかッて、わたしは聞いて見ました。なんでも、こうすわっていますと、そこいらが暗くなって来るらしい――暗い、暗いッて、よくそんなことを言いましてね。」


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