島崎藤村 『夜明け前』 「いや、お粂のやつが妙なことを言い出した。…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「やれやれ、お粂が妙なことを言い出したよ。」
「なんだよ?俺が王滝へ行くなら、あいつと一緒に連れてってくれって言うんだ。」
「まあ。」
「御嶽里宮のことはあいつも聞いて知ってるからね、何かお参りでもしたいみたいな口ぶりだよ。」
「そんな話は私にはしませんよ。」
「あいつも考え直したんだろう。やっぱりお粂もまだ若いなあ。おれがあのおやじの病気を祈願に行った時にも、勝重さんが一緒について行くと言って困った。あの時も俺はおじさんに止められて、あんな若い人を一緒に参籠に連れて行きますか?って言われた。それでも勝重さんは行きたいって言うもんだから、仕方なしに連れて行った。懲りた。今度はおれ一人だ。それに娘なんて連れて行く場合じゃないよ。見てみろ、十八やそこいらで、しかも女の足で、あんなお宮の方に行けるものかね。ばかな!って、俺は叱っておいたよ。」
「まあ、嫁入り前の身で、どうしてそんなことを考えるんでしょうね。」

原文 (会話文抽出)

「いや、お粂のやつが妙なことを言い出した。」
「何さ。おれが王滝へ行くなら、あれも一緒に供をさせてくれと言うんさ。」
「まあ。」
「御嶽里宮のことはあれも聞いて知ってるからね、何かお参りでもしたいようなあれの口ぶりさ。」
「そんな話はわたしにはしませんよ。」
「あれも思い直したんだろう。なんと言ってもお粂もまだ若いなあ。おれがあのお父さんの病気を祷りに行った時にも、勝重さんが一緒について行くと言って困った。あの時もおれは清助さんに止められて、あんな若い人を一緒に参籠に連れて行かれますかッて言われた。それでも勝重さんは行きたいと言うもんだから、しかたなしに連れて行った。懲りた。今度はおれ一人だ。それに娘なぞを連れて行く場合じゃない。ごらんな、十八やそこいらで、しかも女の足で、あんなお宮の方へ行かれるものかね。ばかなッて、おれはしかって置いたが。」
「まあ、嫁入り前のからだで、どうしてそんな気になるんでしょう。」


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