島崎藤村 『夜明け前』 「市川党もずいぶん惨酷をきわめましたね。こ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「市川党もむごいことしたよな。この人を生かしておいたら、いつか仇を討たれるだろうって思ってたのかな。それにしても、こんな罪もない子供にまで死刑にするなんて、ひどすぎるよ。」
「お母さん、ここに武田伊賀忰、桃丸、八歳って書いてあるよ。うちの長男の年齢と同じだ。」
「そういや、遺族が牢屋に入れられてるときに、牢屋の役人が耕雲斎たちの首を持ってきて、牢屋の外から見せたんだって。今は花見時だ、お前らこの花を見ろって、そう役人が言ったみたいよ。」
「どういうつもりで、そんなこと言ったんだろ?」
「遺族にお別れさせたかったのか、それとも辱めたかったのか。」
「本当にひどいことするよな、人間として最低だッて、みんな言ってたよ。」

原文 (会話文抽出)

「市川党もずいぶん惨酷をきわめましたね。こいつを生かして置いたら、仇を復される時があるとでも思うんでしょうか。それにしても、こんな罪もない幼いものにまで極刑を加えるなんて、あさましくなる。」
「まあ、お母さん、ここに武田伊賀忰、桃丸、八歳とありますよ。吾家の宗太の年齢ですよ。」
「そう言えば、あの遺族が牢屋に入れられていますと、そこへ牢屋の役人が耕雲斎以下の首を持って来まして、牢屋の外からその首を見せたと言いますよ。今は花見時だ、お前たちはこの花を見ろと、そう役人が言ったそうですよ。」
「どういうつもりで、そんなことを言ったものかいなあ。」
「遺族にお別れをさせるつもりだったのか、それとも辱じしめるつもりだったのか。」
「実にけしからん、無情な事をしたものだッて、そう言わないものはありませんよ。」


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