GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』
現代語化
「そりゃ、俺も何度故郷に逃げ帰ろうと思ったかわかんねぇ。暇をください、辞めますって口に出すたびに天誅、天誅って言うんだぜ。でも、不思議と毎日槍持ったり荷物を運んだり、隊長の話聞いたりしてるうちに、いつの間にかこいつらの行くところまで付いていこうって思うようになったんだ。」
「和田峠の話は聞かなかったか?浪士の中にいたら、あの戦の話も聞いただろ?」
「はい。諏訪の戦は大変だったみたいで、もう一隊いたらだいぶ苦労するところだったって言ってました。あいつら山国兵部の策略で奇襲隊になっちゃったんで、なんとか打ち破ったけど、かなり苦戦したみたいですよ。」
原文 (会話文抽出)
「どうして、お前は伊那から越前の敦賀まで、そんな供をするようになったのかい。」
「そりゃ、お前さま、何度わたくしも国の方へ逃げ帰りたいと思ったか知れません。お暇をいただきます、御免こうむりますと言い出せばそのたびに天誅、天誅ですで。でも、妙なもので、毎日鎗をかついだり、荷物を持ったり、隊長の話を聞いたりするうちに、しまいにはこの人たちの行くところまで供をしようという気になりました。」
「和田峠の話は出なかったかい。浪士の中にいたら、あの合戦の話も聞いたろう。」
「さようでございます。諏訪の合戦はなかなか難儀だったそうで、今一手もあったらなにぶん当惑するところだったと申しておりました。あの山国兵部の謀で、奇兵に回ったものですから、ようやく打ち破りはしたものの、ずいぶん難戦いたしたような咄を承りました。」