GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』
現代語化
「俺が何を知ってるってんだ。」
「お関所番の話くらい聞いただろ?」
「ああ、あいつの話か。俺も詳しいことは知らねぇけどさ。水戸浪士が来たときに、飯田の侍が一人と、足軽が二、三十人でお関所に詰めてたんだって。そんな人数じゃどうにもならねぇだろう。通る奴は通らせてたみたいだし、侍も黙って見てたんだってよ。」
「俺は毎日山で鉄砲打ってばっかだから、関所の奴が死んだのも後から聞いたよ。まあ、あんた、この茶屋の婆さんのほうが詳しいよ。俺は犬相手だけど、あっちはお客さん相手だもんな。」
原文 (会話文抽出)
「妙なことを尋ねるようだが、お前はお関所の話をよく知らんかい。」
「おれが何を知らすか。」
「お前だって、あのお関所番のことは聞いたろうに。」
「うん、あの話か。おれもそうくわしいことは知らんぞなし。なんでも、水戸浪士が来た時に、飯田のお侍様が一人と、二、三十人の足軽の組が出て、お関所に詰めていたげな。そんな小勢でどうしようもあらすか。通るものは通れというふうで、あのお侍様も黙って見てござらっせいたそうな。」
「おれは毎日鉄砲打ちで、山ばかり歩いていて、お関所番の亡くなったこともあとから聞いた。そりゃ、お前さま、この茶屋の婆さんの方がよっぽどくわしい。おれはこんな犬を相手だが、ここの婆さんはお客さまを相手だで。」