島崎藤村 『夜明け前』 「寿平次さん、君の方へは福島から何か沙汰が…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「寿平次さん、福島から何か連絡ありましたか」
「浪士のことですか。本陣問屋には何も言ってきません」
「何か考えてるみたいで、僕にも何も言わないんです。普通なら、浪士は泊めるななんて、沙汰があるはずなのに」
「それは、半蔵さん、福島の旦那様もできれば浪士には会いたくないと思ってますよ」
「浪士は清内路から蘭に出て、橋場へ来るでしょう。そこから僕の家をめがけて来ると思います。来たら、僕は旅人として迎えるつもりです」
「それを聞いて安心しました。馬籠から中津川の方へ浪士を無事に送り届ければ、福島の旦那様も内心それを望んでるんですよ」
「妻籠は心配ありませんね。寿平次さんにお願いがあるんですが、明日はかなり騒がしくなると思います。妻籠に都合がついたら来てくれませんか。急な話で、準備のしようがないんです。今朝、会所で寄り合いをして、村総出でやることにしました。みんな分担して出かけちゃいました。僕も今、一息ついてるんです」
「そういえば、今回は飯田でも平田の門人に礼を言うべきですね。君たちの仲間はすごい」
「平田門人も、寿平次さんに少し認められたわけですか」

原文 (会話文抽出)

「寿平次さん、君の方へは福島から何か沙汰がありましたか。」
「浪士のことについてですか。本陣問屋へはなんとも言って来ません。」
「何か考えがあると見えて、わたしの方へもなんとも言って来ない。これが普通の場合なら、浪士なぞは泊めちゃならないなんて、沙汰のあるところですがね。」
「そりゃ、半蔵さん、福島の旦那様だってなるべく浪士には避けて通ってもらいたい腹でいますさ。」
「いずれ浪士は清内路から蘭へかかって、橋場へ出て来ましょう。あれからわたしの家をめがけてやって来るだろうと思うんです。もし来たら、わたしは旅人として迎えるつもりです。」
「それを聞いてわたしも安心しました。馬籠から中津川の方へ無事に浪士を落としてやることですね、福島の旦那様も内々はそれを望んでいるんですよ。」
「妻籠の方は心配なしですね。そんなら、寿平次さん、お願いがあります。あすはかなりごたごたするだろうと思うんです。もし妻籠の方の都合がついたら来てくれませんか。なにしろ、君、急な話で、したくのしようもない。けさは会所で寄り合いをしましてね、村じゅう総がかりでやることにしました。みんな手分けをして、出かけています。わたしも今、一息入れているところなんです。」
「そう言えば、今度は飯田でもよっぽど平田の御門人にお礼を言っていい。君たちのお仲間もなかなかやる。」
「平田門人もいくらか寿平次さんに認められたわけですかね。」


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