島崎藤村 『夜明け前』 「さようでございます。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「その通りです」
「近年は諸大名が権威を強めて、何でも威勢を誇って人民に命令するようになりました。ご存知の通り、木曽の下4宿はいずれも小駅で、決まった人馬がわずか25人25疋で継立してまいりました。そこへ美濃の落合宿あたりから、助郷人馬を持って多数継立することがあると、宿場では対応できません。まず多数の場合には、宿場にある人馬を出して、残りは人馬が戻るまで待っていただきます。また、時間によっては宿場に泊まっていただきます。それが普通でしたが、近年は諸大名が宿場の願いを聞いてくれません。威勢を誇って継立を厳しく命じられるので、仕方なく近隣の村から人馬を雇って、無理やり継立いたします。それで雇い金が年々たまってきました。宿場が困窮するのは、諸大名が権威を持ちすぎたせいかと存じます。それがなければ、街道の仕事ももっと楽にできるはずです」
「なるほど、そういうこともあるでしょう」
「御同僚、どう思いますか。詳しいことは書面にして出していただければ」
「同感です」

原文 (会話文抽出)

「さようでございます。」
「近年は諸家様の御権威が強くなりまして、何事にも御威勢をもって人民へ仰せ付けられるようになりました。御承知のとおり、木曾の下四宿はいずれも小駅でございまして、お定めの人馬はわずかに二十五人二十五疋でお継立てをいたしてまいりました。そこへ美濃の落合宿あたりから、助郷人馬をもちまして、一時に多数の継立てがございますと、そうは宿方でも応じきれません。まず多数にお入り込みの場合を申しますと、宿方にあり合わせた人馬を出払いまして、その余は人馬の立ち帰るまで御猶予を願います。また、時刻によりましては宿方にお泊まりをも願います。これが平素の場合でございましたところ、近年は諸家様がそういう宿方の願いをもお聞き入れになりません。なんでも御威勢をもって継立て方をきびしく仰せ付けられるものですから、まあよんどころなく付近の村々から人馬を雇い入れまして、無理にもお継立てをいたします。そんな次第で。雇い金も年々に積もってまいりました。宿方困窮の基と申せば、あまりに諸家様の御権威が高くなったためかと存じます。それさえありませんでしたら、街道の仕事はもっと安らかに運べるはずでございます。」
「なるほど、そういうこともあろう。」
「御同役、いかがでしょう。くわしいことは書面にして差し出してもらいたいと思いますが。」
「御同感です。」


青空文庫現代語化 Home リスト