島崎藤村 『夜明け前』 「もうそれでも半蔵も帰って来ていいころだぞ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「この頃には半蔵もそろそろ帰ってくる頃だな」
「最近街道がゴタゴタしてきて、栄吉も心配してる。町じゃいろいろ言ってるらしいね」
「半蔵のことですか」
「あれは本陣の日記をちゃんとつけてるのかな」
「うーん。それで思い出したんですけど、半蔵の日記が机の上に置いてあって、つい開いちゃいました。昔あなたが本陣の日記をつけてたように、半蔵も最初の方は福島から来た人とか、お材木の方を湯舟沢に案内したとか、細かいことまで書いてたんですけど、後の方になると天気を書いてるだけのところが何日も続いてるんです。晴。曇。晴。曇。そんな日が7日とか8日続いてたんですよ」
「それだ。無器用なのも仕方ないけど、あいつにもっと商売の才能が欲しかったよ」

原文 (会話文抽出)

「もうそれでも半蔵も帰って来ていいころだぞ。」
「この節は街道がごたごたして来て、栄吉も心配している。町ではいろいろなことを言う人があるようだね。」
「半蔵のことですか。」
「あれは本陣の日記なぞを欠かさずつけているだろうか。」
「さあ。わたしもそれで気がついたことがありますよ。あれの日記が机の上にありましたから、あけるつもりもなくあけて見ました。あなたがよく本陣の日記をつけたように、半蔵も家を引き受けた当座は、だれが福島から来て泊まったとか、お材木方を湯舟沢へ御案内したとか、そういうことが細かくつけてありましたよ。だんだんあとの方になると、お天気のことしか書いてない日があります。晴。曇。晴。曇。そんな日の七日も八日も続いたところがありましたっけ。」
「それだ。無器用に生まれついて来たのは性分でしかたがないとしても、もうすこしあれには経済の才をくれたい。」


青空文庫現代語化 Home リスト