島崎藤村 『夜明け前』 「あなた、店座敷の方へ先生を御案内したら。…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「あなた、店座敷の方へ先生をご案内したら。お母さんもお目にかかりたいと言っています」
「いや、そんなことはできません」
「半蔵さんもお出かけになるところだ。私はこんなに邪魔をするつもりじゃなかった。今日お伺いしたのは、別に理由はありませんが、実は無尽をしようと思いまして、上の伏見屋にも今寄って来ました。あの金兵衛さんにもお話ししました。半蔵さん、あなたにもぜひご協力いただきたい」
「それは喜んでお受けしますよ。いずれ王滝から帰った時に」
「そんな悠長なことは言ってられません。生憎香蔵も京都に行ってるので、あなたにお願いするよりほかに相談できる人がいません。どうも男の年寄りってのは厄介で、私も養子の世話にはなりたくありません。これから中津川に住むか、どうか、自分でもまだ決めていません。そうです、もう一度頑張ります。ひょっとすると伊勢の国に行くことになるかもしれません」

原文 (会話文抽出)

「あなた、店座敷の方へ先生を御案内したら。お母さんもお目にかかりたいと言っていますに。」
「いや、そうしちゃいられません。」
「半蔵さんもお出かけになるところだ。わたしはこんなにお邪魔するつもりじゃなかった。きょうお寄りしたのはほかでもありませんが、実は無尽を思い立ちまして、上の伏見屋へも今寄って来ました。あの金兵衛さんにもお話しして来ました。半蔵さん、君にもぜひお骨折りを願いたい。」
「それはよろこんでいたしますよ。いずれ王滝から帰りました上で。」
「そうどころじゃない。あいにく香蔵も京都の方で、君にでもお骨折りを願うよりほかに相談相手がない。どうも男の年寄りというやつは具合の悪いもので、わたしも養子の厄介にはなりたくないと思うんです。これから中津川に落ちつくか、どうか、自分でも未定です。そうです、今ひと奮発です。ひょっとすると伊勢の国の方へ出かけることになるかもしれません。」


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