島崎藤村 『夜明け前』 「寿平次さん、わたしはそれよりも、あの薩摩…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「寿平次さん、それより、あの薩摩の連中が急いで帰ったのが気になりますよ。あんな大事件が起こったのに、ほったらかして帰っていくんですから。京都はどうなんでしょう。それほど状況が変わってきたんじゃないですか」
「さあね」
「寿平次さんは岩倉様が謹慎させられたのを知ってますか」
「それは初めて聞きました」
「どうもいろんなことを総合すると、京都では何かが起こっている――」
「半蔵さんの仲間からは何か連絡来ますか。今は平田先生の弟子で、京都に集まってる人もたくさんいるんでしょう」
「景蔵さんからもしばらく連絡ありません」
「まあ、世の中は大変なことになってる。これからの庄屋の3年は、お父さんたちの時代の20年に当たるかもしれないよ」

原文 (会話文抽出)

「寿平次さん、わたしはそれよりも、あの薩摩の同勢の急いで帰ったというのが気になりますよ。あれほどの事件が途中で起こったというのに、それをうっちゃらかして置いて行くくらいですからね。京都の方はどうでしょう。それほど雲行きが変わって来たんじゃありませんかね。」
「さあねえ。」
「寿平次さんは岩倉様の蟄居を命ぜられたことはお聞きでしたかい。」
「そいつは初耳です。」
「どうもいろいろなことをまとめて考えて見ると、何か京都の方には起こっている――」
「半蔵さんのお仲間からは何か言って来ますか。今じゃ平田先生の御門人で、京都に集まってる人もずいぶんあるんでしょう。」
「しばらく景蔵さんからも便りがありません。」
「なにしろ世の中は多事だ。これからの庄屋の三年は、お父さん時代の人たちの二十年に当たるかもしれませんね。」


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