島崎藤村 『夜明け前』 「ここへ来ると思い出すなあ。あの横須賀行き…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「ここ来ると昔を思い出しますよ。あの横須賀行きの半蔵さんを誘いに来て、一晩泊めてもらったのもこの部屋っすよね」
「あの頃とは、江戸も変わったらしい」
「だいぶ変わりました。この前、江戸土産を家まで届けてくれた飛脚がいて、そいつの話だと攘夷論がすごい勢いらしいんすよ。浪人があちこちで暴れて、外国人が殺されて、洋学者ってヤツが脅迫されて。江戸の唐物屋は店壊されたりして、ものすごい世の中だって言ってましたよ」
「表面だけ見れば、そういうこともあるかもね」
「でも、半蔵さん、こんなに攘夷なんて言い出すヤツが出てきて――もう、ありとあらゆるヤツが言ってんすけど――これって大丈夫っすか?」

原文 (会話文抽出)

「ここへ来ると思い出すなあ。あの横須賀行きの半蔵さんを誘いに来て、一晩泊めていただいたのもこの部屋ですよ。」
「あの時分と見ると、江戸も変わったらしい。」
「大変わり。こないだも江戸土産を吾家へ届けてくれた飛脚がありましてね、その人の話には攘夷論が大変な勢いだそうですね。浪人は諸方に乱暴する、外国人は殺される、洋学者という洋学者は脅迫される。江戸市中の唐物店では店を壊される、実に物すごい世の中になりましたなんて、そんな話をして行きましたっけ。」
「表面だけ見れば、そういうこともあるかもしれません。」
「しかし、半蔵さん、こんなに攘夷なんてことを言い出すようになって来て――それこそ、猫も、杓子もですよ――これで君、いいでしょうかね。」


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