島崎藤村 『夜明け前』 「佐吉、めずらしい陽気だなあ。この分じゃ妻…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『夜明け前』

現代語化

「佐吉、めずらしく暖かいな。こりゃ妻籠も暖かくなるだろう」
「そうだよな。今夜は門の前でかがり火焚かなくてもいいかも、と思って山から薪担いできた」
「こんなに暖かけりゃ、かがり火もいらないよ」
「今夜は高張りだけじゃなくしようか」
「一昨日の晩だったよ」
「桝田屋の儀助さんが夜通しで福島に出張したんだけど、街道に雪が全然ないんだって。茶屋に寄って、店先で休んでも、寒いってことがなかったらしい。どうもこれは日本中が暖かいみたいだ。あの儀助さんがそんな話をしてたよ」
「金兵衛さん――とんでもない冬だぜ」
「ほんとだよ」

原文 (会話文抽出)

「佐吉、めずらしい陽気だなあ。この分じゃ妻籠の方も暖かいだろう。」
「そうよなし。今夜は門の前で篝でも焚かずと思って、おれは山から木を背負って来た。」
「こう暖かじゃ、篝にも及ぶまいよ。」
「今夜は高張だけにせずか、なし。」
「一昨日の晩でさ。」
「桝田屋の儀助さんが夜行で福島へ出張したところが、往還の道筋にはすこしも雪がない。茶屋へ寄って、店先へ腰掛けても、凍えるということがない。どうもこれは世間一統の陽気でしょう。あの儀助さんがそんな話をしていましたっけ。」
「金兵衛さん――前代未聞の冬ですかね。」
「いや、全く。」


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