島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 「年をとれば、甘い物なんか食いたくなくなり…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』

現代語化

「年をとると、甘いものなんて食べたくなくなるんでしょうか」
「十八史略を売ってお菓子屋の支払いにしたこともあるからね」
「お菓子もおいしいけど、結構お金がかかるね」
「僕は2年ほど我慢した……」
「それはすごい。2年も我慢なんてできない。僕は週に3回と決めてるよ」
「ところが、3年目になると、どうしても我慢できなくなったんだ」
「最近ある先生がね――諸君はよくお菓子屋に行くらしいが、私は今までそういうところへは一切足を踏み入れたことがない、一度諸君に連れて行ってもらいなさい、と言ったらしいよ」
「ふーん」
「ところで諸君はよくお菓子を食べるね、1回にどのくらい食べるんだい、と先生が言うから、そうですね、まあ10銭から20銭くらい食べますって言うと、それはすごい、そんなに食べてよく胃を壊さないものだねと言われる。ああ、学校に帰って来て、夕飯を食べない者もいるんだ、と言ったら」
「そうだね、いろいろいるよ、お菓子に胃散をつけて食べる男がいるんだぜ」

原文 (会話文抽出)

「年をとれば、甘い物なんか食いたくなくなりましょうか」
「十八史略を売って菓子屋の払いをしたことも有るからナア」
「菓子もいいが、随分かかるネ」
「僕は二年ばかり辛抱した……」
「それはエラい。二年の辛抱は出来ない。僕なぞは一週間に三度と定めている」
「ところが、君、三年目となると、どうしても辛抱が出来なくなったサ」
「此頃、ある先生が――諸君は菓子屋へよく行そうだ、私はこれまでそういう処へ一切足を入れなかったが、一つ諸君連れてってくれ給え、こう言うじゃないか」
「フウン」
「一体諸君はよく菓子を好かれるが、一回に凡そどの位食べるんですか、と先生が言うから、そうです、まあ十銭から二十銭位食いますって言うと、それはエラい、そんなに食ってよく胃を害さないものだと言われる。ええ、学校へ帰って来て、夕飯を食わずにいるものも有ります、とやったさ」
「そうだがねえ、いろいろなのが有るぜ、菓子に胃散をつけて食う男があるよ」


青空文庫現代語化 Home リスト