GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『白』
現代語化
「おじさんかい? ――おじさんはずっと遠い町にいるよ」
「じゃもうおじさんは家へ帰りましょう」
「まあちょっと待ってよ。おじさんの奥さんはうるさいの?」
「奥さん? なんでそんなこと聞くんですか?」
「もし奥さんがうるさくなければ、今夜はここに泊まってってよ。それから僕の母さんにも命拾いの御礼を言わせてよ。僕の家には牛乳とか、カレーライスとか、ビーフステーキとか、いろいろおいしいものがあるんだよ」
「ありがとう。ありがとう。でもおじさんは用事があるから、ご馳走になるのはまた今度にするよ。――じゃお前のお母さんによろしく」
「おじさん。おじさん。といえば!」
「じゃ名前だけ教えて。僕の名前はナポレオンっていうんだ。ナポちゃんとかナポ公とかとも呼ばれるけどね。――おじさんの名前は何ですか?」
「おじさんの名前はシロっていうんだよ」
「シロ――ですか? シロっていうのは不思議ですね。おじさんはどこも黒くないじゃないですか?」
「それでもシロっていうんだよ」
「じゃシロのおじさんって呼びましょう。シロのおじさん。ぜひまた近いウチに1度来て下さい」
「じゃナポ公、さよなら!」
「ご機嫌よう、シロのおじさん! さようなら、さようなら!」
原文 (会話文抽出)
「僕はここに住んでいるのです。この大正軒と云うカフェの中に。――おじさんはどこに住んでいるのです?」
「おじさんかい?――おじさんはずっと遠い町にいる。」
「じゃもうおじさんは家へ帰ろう。」
「まあお待ちなさい。おじさんの御主人はやかましいのですか?」
「御主人? なぜまたそんなことを尋ねるのだい?」
「もし御主人がやかましくなければ、今夜はここに泊って行って下さい。それから僕のお母さんにも命拾いの御礼を云わせて下さい。僕の家には牛乳だの、カレエ・ライスだの、ビフテキだの、いろいろな御馳走があるのです。」
「ありがとう。ありがとう。だがおじさんは用があるから、御馳走になるのはこの次にしよう。――じゃお前のお母さんによろしく。」
「おじさん。おじさん。おじさんと云えば!」
「じゃ名前だけ聞かして下さい。僕の名前はナポレオンと云うのです。ナポちゃんだのナポ公だのとも云われますけれども。――おじさんの名前は何と云うのです?」
「おじさんの名前は白と云うのだよ。」
「白――ですか? 白と云うのは不思議ですね。おじさんはどこも黒いじゃありませんか?」
「それでも白と云うのだよ。」
「じゃ白のおじさんと云いましょう。白のおじさん。ぜひまた近い内に一度来て下さい。」
「じゃナポ公、さよなら!」
「御機嫌好う、白のおじさん! さようなら、さようなら!」