三遊亭圓朝 『名人長二』 「半右衞門妻柳は、長二郎の実母ゆえ、親殺し…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「半右衞門の妻柳は、長二郎の実母ゆえ、親殺しと言う者もあろうが、親殺しに当たらないのは、こういう次第だ、柳は夫の半右衞門が生きている間に愛人を引き入れ、不倫したというだけでもすでに半右衞門の妻としての道を踏み外しており、半右衞門がこのことを知ったなら少なくとも離縁したであろう、まして奸夫幸兵衛と共謀して密かに半右衞門を殺した大悪人で非道の女だ、もう半右衞門の妻ではない、半右衛門の妻でなければ長二郎にとっては母親ではない、この道理を礼記という書物により林大学頭から上様に言上したところ、長二郎はまったく実父の敵である、他人の柳と幸兵衛を討ち取ったのだとお裁許が下されたのだ、萬助わかったか」
「恐縮しました」
「茂二作ならびに妻由、お前たちは半右衛門方へ奉公中に、主人妻柳に幸兵衛を取り持ったばかりか、柳の悪事に同調し、玄石を頼んで、主人半右衞門を殺害させた件、主殺しと同じ罪で、磔にしてもよいところ、主人柳の頼みでやむを得ず同意したということで、格別の慈悲をもって14年の遠島を申し付ける、ありがたく思え」
「ありがとうございます」
「下谷稲荷町茂二作家主徳平、ならびに浅草鳥越片町龜甲屋差配簑七、お前たちはこのような悪人たちが自分の差配中に住んでいることを知らなかったということで、不取締りとして咎めを申し付けるべきところ、今回は免じておく、今後は必ず心得よ」
「恒太郎お前の父清兵衞のことだが、長年長二郎を世話しており、今回の件について長二郎の普段の行いと心構えなどを逐一申し立てたことで、上のご都合にも合い、また師弟の情が厚かったことは感心至極で褒めておくぞ」
「はい、ありがとうございます」
「玄石お前のことだが、半右衞門の妻柳から金100両を受け取り、半右衛門を鍼術で殺害した件、不届きであるとして死罪を申し付けるべきところ、格別の慈悲をもって14年の遠島を申し付ける、ありがたく思え」
「ありがとうございます」
「長二郎親の仇討ち一件は本日で決着、一同退廷せよ」

原文 (会話文抽出)

「半右衞門妻柳は、長二郎の実母ゆえ、親殺しと申す者もあろうが、親殺しに相成らぬは、斯ういう次第じゃ、柳は夫半右衞門存生中密夫を引入れ、姦通致せし廉ばかりでも既に半右衞門の妻たる道を失って居る半右衞門に於て此の事を知ったならば軽うても離縁いたすであろう、殊に奸夫幸兵衞と申合わせ窃かに半右衞門を殺した大悪非道な女じゃによって、最早半右衛門の妻でない、半右衛門の妻でなければ長二郎のために母でない、この道理を礼記と申す書物によって林大學頭より上様へ言上いたしたによって、長二郎は全く実父の敵である、他人の柳と幸兵衛を討取ったのであると御裁許に相成ったのじゃ、萬助分ったか」
「恐入りました」
「茂二作並に妻由、其の方共半右衞門方へ奉公中、主人妻柳に幸兵衞を取持ったるのみならず、柳の悪事に同意し、玄石を頼み、主人半右衞門を殺害いたさせたる段、主殺同罪、磔にも行うべき処、主人柳の頼み是非なく同意いたしたる儀に付、格別の御慈悲をもって十四ヶ年遠島を申付くる、有難く心得ませい」
「有難うござります」
「下谷稲荷町茂二作家主徳平、並に浅草鳥越片町龜甲屋差配簑七、其の方斯様なる悪人どもが自分の差配中に住居いたすを存ぜざる段、不取締に付咎め申付くべき処、此の度は免し置く、以後屹度心得ませい」
「恒太郎其の方父清兵衞儀、永々長二郎を世話いたし、此の度の一件に付長二郎平生の所業心懸等逐一申立てたるに付、上の御都合にも相成り、且師弟の情合厚き段神妙の至り誉め置くぞ」
「へい、有難う存じます」
「玄石其の方儀、半右衞門妻柳より金百両を貰い受け、半右衞門を鍼術にて殺害に及びし段、不届に付死罪申付くべきの処、格別の御慈悲をもって十四年遠島を申付くる、有難う心得ませい」
「有難うござります」
「長二郎親の仇討一件今日にて落着、一同立ちませい」


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