三遊亭圓朝 『名人長二』 「訴人長二郎、浅草鳥越片町龜甲屋手代萬助、…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「訴人長二郎、浅草鳥越片町龜甲屋手代萬助、本所元町與兵衛店恒太郎、下谷稲荷町徳平店茂二作ならびに妻由、越中国高岡無宿玄石、そのほかの町役人組合の者全員揃いましたか」
「全員お供しております」
「茂二作ならびに妻由、お前たちは先ほど半右衞門の妻柳が懐妊したことを知ったのは、今年から29年前、つまり寛政4年の子年で、男子の出産はその翌年の正月11日と申したが、間違いないか」
「はい、間違ございません」
「その赤ん坊の名前は何と申した」
「半之助様と申しました」
「ふむ、その半之助というのはこの長二郎だが、どうだ、半右衞門に似ていただろう」
「なるほどよく似ております、ねえお由」
「そうですよ、まったく気が付きませんでしたが、そう言われてみるとねえ、旦那様そっくりだ、へえこの方が半之助様で、どうして無事でいらっしゃったのかまったく不思議で」
「ふうんよく似ていると見えるな」
「半右衞門の妻柳が懐妊中、お前たちが幸兵衛を取り持って不倫をさせたのだろう」
「どうしてそんなことが、左様なことは」
「私たちの知らないうちにいつか」
「どちらにしてもいいが、お前たちは幸兵衛と柳が密通していることを知っていたのだろう」
「はい、それは」
「何か怪しいと思っていたのですが」
「柳が不倫をしながら、主人半右衞門に内密にしていたのは、お前たちが同家に奉公中に密通していたからだろうが」

原文 (会話文抽出)

「訴人長二郎、浅草鳥越片町龜甲屋手代萬助、本所元町與兵衛店恒太郎、下谷稲荷町徳平店茂二作並に妻由、越中国高岡無宿玄石、其の外町役人組合の者残らず出ましたか」
「一同差添いましてござります」
「茂二作並に妻由、其の方ども先日半右衞門妻柳が懐妊いたしたを承知せしは、当年より二十九ヶ年前、即ち寛政四子年で、男子の出生は其の翌年の正月十一日と申したが、それに相違ないか」
「へい、相違ございません」
「その小児の名は何と申した」
「半之助様と申しました」
「フム、その半之助と申すは是なる長二郎なるが、何うじゃ、半右衞門に似て居ろうな」
「成程能く似て居ります、のうお由」
「然うですよ、ちっとも気が付かなかったが、左様聞いて見るとねえ、旦那様にそっくりだ、へい此の方が半之助様で、何うして無事で実に不思議で」
「ムヽ能う似て居ると見えるな」
「半右衞門妻柳が懐妊中、其の方共が幸兵衞を取持って不義を致させたのであろう」
「何ういたしまして、左様な事は」
「私どもの知らないうちに何時か」
「何れにしても宜しいが、其の方共は幸兵衞と柳が密通いたして居るを知って居ったであろう」
「へい、それは」
「何か怪しいと存じました」
「柳が不義を存じながら、主人半右衞門へ内々にいたし居ったは、其の方共も同家に奉公中密通いたし居ったのであろうがな」


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