三遊亭圓朝 『名人長二』 「誰だ、何をするんだ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「誰だ? 何をするんだ?」
「長二です」
「長二か…長二、おまえ何しに来たんだ?」
「何しに来たとは情けない…私は9月28日に、背中の傷を見せたとき、捨てられたお母さんだと察しましたが、奉公人がいるので黙って帰って、3か月後にあなた方の身の上を調べて、やっぱり間違いがないと思って、お二人が尋ねて来てくださった時は、親子だと名乗ってくれるのかと思ったんです。でもそうじゃなかったので我慢できず、私の方から言いました。それが気に障ったのか、それとも無慈悲のために、気違いだとか嘘つきだとか人に悪口を言って帰っていくようなひどい親から、お金なんてもらう筋合いじゃないから、さっきの50両を返そうと急いでここに待ち受けて、つい聞いてしまった今の話。もう隠すことはできないでしょう? お母さん、あなたには言いづらいことがあるかもしれませんが、決してほかの人には言いませんから、あなたを産んだお母さんだと言ってください…お願いです…それから旦那さんは私の本当のお父さんですか? それとも義理のお父さんですか?」
「何をするんだ、気違い野郎…去年谷中の菩提所ではじめて会った指物師、仕事が上手で心がけが良いというので贔屓にして仕事を与えて、法外な手間賃を払ってあげたら調子に乗って、とんでもない言いがかりをつけて金をせしめる魂胆だな。そんなことにびくともしない幸兵衛だぞ…え? 何をするんだ? 離せ! 袖が切れる! 離さないとおまえを殴るぞ!」
「打つなら打ちなさい。あなたはこの本当のお父さんじゃないかもしれませんが、お母さんは本当のお母さんです…お母さん、なぜ私を湯河原に捨てたんですか?」
「何をするんだ?」

原文 (会話文抽出)

「誰だ、何をするんだ」
「誰でもございません長二です」
「ムヽ長二だ……長二、手前何しに来たんだ」
「何しに来たとはお情ねえ……私は九月の廿八日、背中の傷を見せた時、棄てられたお母さんだと察したが、奉公人の前があるから黙って帰って、三月越しお前さん方の身上を聞糺して、確に相違無えと思うところへ、お二人で尋ねて来てくだすったのは、親子の名告をしてくんなさるのかと思ったら、そうで無えから我慢が出来ず、私の方から云出したのが気に触ったのか、但しは無慈悲を通す気か、気違だの騙りだのと人に悪名を付けて帰って行くような酷い親達から、金なんぞ貰う因縁が無えから、先刻の五十両を返そうと捷径をして此処に待受け、おもわず聞いた今の話、もう隠す事ア出来ねえだろう、お母さん、何うかお前さんに云い難い事があるかア知りませんが、決して他には云わねえから、お前を産んだお母だといってくだせい……お願いです……また旦那は私の本当のお父さんか、それとも義理のお父さんか聞かしてくだせい」
「何をしやアがる気違奴……去年谷中の菩提所で初めて会った指物屋、仕事が上手で心がけが奇特だというので贔屓にして、仕事をさせ、過分な手間料を払ってやれば附けあがり、途方もねえ言いがゝりをして金にする了簡だな、其様な事に悸ともする幸兵衞じゃア無えぞ……えゝ何をするんだ、放せ、袂が切るア、放さねえと打擲るぞ」
「打つなら打ちなせえ、お前さんは本当の親じゃアねえか知らねえが、お母さんは本当のお母さんだ……お母さん、何故私を湯河原へ棄てたんです」
「何をしやアがる」


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