三遊亭圓朝 『名人長二』 「夕方だが、丁度前を通るから尋ねたのだ、も…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「夕方だけど、たまたま前を通るから寄ったんです。もう構わないでください」
「はい、本当に久しぶりで、今ちょうどみんな外出しています。本当にどうも」
「こないだはいろいろご馳走になりまして、その後体調が悪くて仕事もろくにできませんでした。棚も木を伐ってきたばかりでまだ組み立てていません」
「今日はその催促じゃないんですよ。あちらきりでお目にかからないので、妻が心配して」
「こないだは持病が発作を起こして失礼しました。今日はそのお詫びかたがた」
「それは本当にどうも」
「生憎、兼松と婆さんも留守で、本当にどうも」
「お一人ではさぞご不便でしょう」
「はい、別に不便とも思いませんが、こういうときに何があるのかどこにあるのか分かりません」
「そうでしょうね。それに病気になる時には内儀さんがいないと困りますから、早く見つけて連れてきたらいかがでしょうか? ねえ、旦那」
「そうだ。失礼な言い分だが、独身だと雑用がままならないから、いい人を見つけなさい」
「だって私のような貧乏人のところには人が来ません。来るような人はまともじゃないでしょう」
「いや、そんなことはありません。縁というのは不思議なものです。恥ずかしい話ですが、私は若いときに伯母に勧められてあるところに嫁に行きましたが、さんざん苦労しました。でも、縁がなかったのが私の幸せで、今はこんなにも楽な生活をしていて、何不自由ありません。ただ、子供がいないのが玉に瑕かな。順調にいけば長さん、あなたくらいの子供がいてもいいはずですが、子供ができないのは何かの罰でしょう。お金があっても、子供のないほど心細いことはありませんから、長さん、あなたも早くお嫁さんをもらって早く子供を作りなさい…あなたは貧乏だからお嫁さんが来ないとおっしゃるけれど、お金はどうにでもなりますから早く見つけてください。まだうちの道具をいろいろ作ってもらわないといけませんから、お金は私が用意します」

原文 (会話文抽出)

「夕方だが、丁度前を通るから尋ねたのだ、もう構いなさんな」
「へい、誠にお久しぶりで、なに今皆な他へまいって一人ですから、誠にどうも」
「いつぞやは種々御馳走を戴きまして、それから此来体が悪いので、碌に仕事をいたしませんから、棚も木取ったばかりで未だ掛りません」
「今日は其の催促じゃアないよ、彼の時ぎりでお目にかゝらないから、妻が心配して」
「いつぞやは生憎持病が発って失礼をしましたから、今日はそのお詫かた/″\」
「それは誠にどうも」
「生憎兼松も婆さんも留守で、誠にどうも」
「お一人ではさぞ御不自由でしょう」
「へい、別に不自由とも思いませんが、此様な時何が何処に蔵って在るか分りませんので」
「左様でしょう、それに病み煩いの時などは内儀さんがないと困りますから、早くお貰いなすっては何うです、ねえ旦那」
「左様だ、失礼な云分だが、鰥夫に何とやらで万事所帯に損があるから、好いのを見付けて持ちなさい」
「だって私のような貧乏人の処えは来人がございません、来てくれるような奴は碌なのではございませんから」
「なアに左様したもんじゃアない、縁というものは不思議なもんですよ、恥を云わないと分りませんが、私は若い時伯母に勧められて或所へ嫁に行って、さん/″\苦労をしたが、縁のないのが私の幸福で、今は斯ういう安楽な身の上になって、何一つ不足はないが子供の無いのが玉に瑕とでも申しましょうか、順当なら長さん、お前さんぐらいの子があっても宜いんですが、子の出来ないのは何かの罰でしょうよ、いくらお金があっても子の無いほど心細いことはありませんから、長さん、お前さんも早く内儀さんを貰って早く子をお拵えなさい……お前さん貧乏だから嫁に来人がないとお云いだが、お金は何うにでもなりますから早くお貰いなさい、まだ宅の道具を種々拵えてもらわなければなりませんから、お金は私が御用達てます」


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