三遊亭圓朝 『名人長二』 「親方……恐入りました……誠に感服……名人…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「親方…恐れ入りました…本当に感服です…名人の技だ…名人が作った仏壇なら、1000両でも安いです。約束通り1000両お支払いします」
「ははは、魂を込めたのが伝わったんですね。私は自慢は嫌いですが、それがわかればそれでいいです。ただ、このように傷がついてしまったので、道具としては使えません。持ち帰って、元の板が見つかりしだいお返しします」
「それは困ります。傷があってもかまいませんから、1000両で引き取りますよ」
「1000両なんて価値ありません」
「だってさっき賭けをしたでしょ?」
「それは旦那さんが勝手に言われたもので、私が1000両ちょうだいと言ったわけじゃないんです。私は賭け事なんて嫌いなんです」
「そうかもしれませんが、これは別です」
「何が別なのか知りませんけど、他の仕事を疑われるのは気に入らないので、持ち帰ります。お金に目がくらんで仕事をする職人じゃありません」
「ちょっと待ってください…親方…私があなたの仕事を疑って、一生懸命作った仏壇を傷物にしてしまったことは重々申し訳ありませんでした。そこは本当に反省していますので、どうか仏壇は置いてってください」
「でも、このように傷がついてしまったものを差し上げるわけにはいきません」
「それが逆に価値なんです。聖堂の林様がご出入りの方なので殿様に頼んで、私が金槌で傷をつけた経緯を記した書面を書いていただき、その書面をこの仏壇に添えて子孫に伝えようと。親方、機嫌を直してください」

原文 (会話文抽出)

「親方……恐入りました……誠に感服……名人だ……名人の作の仏壇、千両でも廉い、約束通り千両出しましょう」
「アハヽヽ精神を籠めた処が分りましたか、私ア自慢をいう事ア大嫌いだが、それさえ分れば宜うがす、此様に瑕が付いちゃア道具にはなりませんから、持って帰って其の内に見付かり次第、元の通りの板はお返し申します」
「そりゃア困る、瑕があっても構わないから千両で引取ろうというのだ」
「千両なんて価値はありません」
「だって先刻賭をしたから」
「そりゃア旦那が勝手に仰しゃったので、私が千両下さいと云ったのじアねえのです、私ア賭事ア性来嫌いです」
「左様だろうが、これは別物だ」
「何だか知りませんが、他の仕事を疑ぐるというのが全体気にくわないから持って帰るんです、銭金に目を眩れて仕事をする職人じゃアございません」
「まア待ってください……親方……私がお前の仕事を疑ぐって、折角丹誠の仏壇を瑕物にしたのは重々わるかった、其処んところは幾重にもお詫をしますから、何卒仏壇は置いて行ってください」
「だって此様に瑕が付いてるものは上げられねえ」
「それが却って貴いのだ、聖堂の林様はお出入だから殿様にお願い申して、私が才槌で瑕をつけた因由を記いて戴いて、其の書面を此の仏壇に添えて子孫に譲ろうと思いますから、親方機嫌を直して下さい」


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