三遊亭圓朝 『名人長二』 「三吉何故長二を連れて来ない、留守だったか…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『名人長二』

現代語化

「三吉、なんで長二を連れてこなかったの? 留守だった?」
「いや、いたんですけど、あいつバカなんです」
「何だって?」
「坂倉屋だかなんだか知らないけど、頼みごとがあるのに人を呼びつけるなんてないでしょ、オレは呼びつけられてへいへい出てくるような暇な職人じゃないって」
「ふーん、それじゃ何か急ぎの仕事でもしてたのかな」
「ところがそうじゃないんです、鉋屑の中に寝転がってタバコ吸ってました。火の用心、なってないですよね」
「うーん……お前は何て言ったの?」
「俺ですか? おっしゃった通り、蔵前の坂倉屋だけど、作ってもらいたいものがあるからすぐ来てくれって、蔵前には坂倉屋が何軒もあるので一緒にいきましょうって」
「お前、入ってすぐそれ言ったんでしょ? 挨拶もなしに」
「はい」
「それを失礼だと思ったんだろうな」
「でもさ、寝転がってるほうがよっぽど失礼でしょ」
「ううん、それはそうだけど、何か気に食わないことがあったのかな」
「そういうんじゃなくて、あいつは頭が悪いんです」
「むやみに人をバカって言うもんじゃないよ」

原文 (会話文抽出)

「三吉何故長二を連れて来ない、留守だったか」
「いゝえ居りましたが、彼奴は馬鹿でございます」
「何と云った」
「坂倉屋だか何だか知らないが、物を頼むに人を呼付けるという事アない、己ア呼付けられてへい/\と出て行くような閑な職人じゃアねえと申しました」
「フム、それじゃア何か急ぎの仕事でもしていたのだな」
「ところが左様じゃございません、鉋屑の中へ寝転んで煙草を呑んでいました、火の用心の悪い男ですねえ」
「はてな……手前何と云って行った」
「私ですか、私は仰しゃった通り、蔵前の坂倉屋だが、拵えてもらう物があるから直に来ておくんなさい、蔵前には幾軒も坂倉屋があるから一緒にまいりましょうと云ったんでございます」
「手前入ると突然其の口上を云って、お辞儀も挨拶もしなかったろう」
「へい」
「それを失礼だと思ったのだろう」
「だって旦那寝転んでいる方が余ぽど失礼でしょう」
「ムヽそれも左様だが、何か気に障った事があるんだろう」
「左様じゃアございません、全体馬鹿なんです」
「むやみに他の事を馬鹿なんぞというものではございませんぞ」


青空文庫現代語化 Home リスト