三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「むゝう、權六の申す所一応は道理じゃが、殿…

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GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「「ん?権六の言うことは理屈では通るが、殿様から外出禁止を言い渡されている身分からすれば、それを破ってはいけない。外出そのものは禁止されなくてはいけない」
「外出だって、勝手に旨いものを食べに行ったり、面白いものを見に行ったりするのなら遠慮しますけど、殿様を守ることは遠慮できませんよ。外出するなって言う殿様もいないもんですね」
「ああ、四郎治が申す通りわけの分からない奴だが、それなのに目付は権六だけを贔屓して、勘八だけを悪い奴と言うのは、とても迷惑です。それに目付も前からご存じのとおり、神原五郎治の家は前の殿様からお声がかかった、格式のある家柄です。とりわけ遠山権六のような軽輩とは違って、重要な役職も務めている兄です。権六とは比べられません。権六は上の仰せを破って外出をしても咎められず、格別に思召がある神原五郎治を咎めるというのは、本当にひどいお仕打ちだと思います。そんなひどいことをしていては、裁許役とは言えません」
「黙れ四郎治、不束者だが信楽豊前は目付役だぞ。今日お前らを調べるのには深い理由がある。今回ご出府になった、御国家老の福原殿から特別にお頼みがあって目付職を務めている豊前に対して無礼なことを言うとは」
「ではございますが、あんまり片手落ちな調べ方だと思います」
「お前は部屋住みの身分で、兄の代わりとはいえども、お前が内庭に入るのはふさわしくない。それなのに、家来に内庭を巡回させたと聞いているが、それは心得違いではないか?前の殿様から特別にお声がけがある家柄とやら、本当に主君の恩をわきまえているのか、四郎治」
「はい、心得ております」
「黙れ。新参の松蔭大蔵とお前兄五郎治兄弟は、心を合わせて菊之助様をお世継ぎにするために御舎弟様を毒殺しようという計画の詳細について、この私が心得ているぞ」
「ん?」
「けれども格別にお声がけがある家柄ゆえ、目付の情けで優しく調べているのに、とんでもないことを言う奴だ。証拠はもうあって、取り調べまで終わっているぞ。もう逃げられないぞ。兄弟共々今日物頭に預けておく。勘八、お前はろくでもない奴だ。取り調べ中に牢に入れる。権六」
「はい、私も牢に入りますか?」
「いや、お前は4月28日から謹慎だったな」
「ええ?」
「28日から丁度昨夜が謹慎明けだった」
「ああ、そうでしたか」
「いや、丁度そうだった。謹慎が明けたから、相変わらずお主君の身を案じ、お家を大切に思い、役目の外に夜回りをするお前は忠義者だということだ。上もご存じで、後では特別のご褒美もあるだろうから、ありがたく思いなさい」
「ありがとうございます。何くれます?」
「何をくださるかそれは分からない」
「私はいろいろもらうのは嫌です。どうせなら、悪い奴と見たら殺しても構わないくらいの許しをいただきたいものです。最近は悪い奴がうろうろしています。そもそもこの四郎治っていう奴は殺してやりたい」
「これこれ、慎め。追って取り調べる。今日は帰れ」

原文 (会話文抽出)

「むゝう、權六の申す所一応は道理じゃが、殿様より遠慮を仰せ出された身分で見れば、それを背いてはならん、最も外出致すを遠慮せんければならん」
「外出だって我儘に旨え物を喰いに往くとか、面白いものを見に往くのなれば遠慮ういたしますが、殿様のお側を守るなア遠慮は出来ねえ、外出するなって其様な殿様も無えもんだ」
「えゝ四郎治申上げますあの通り訳の分らん奴で、然るをお目付は權六のみを贔屓いたされ、勘八一人唯悪い者と仰せられては甚だ迷惑をいたします事で、殊にお目付も予てお心得でござろう、神原五郎治の家は前殿様よりお声掛りのこれ有る家柄、殊に遠山權六が如き軽輩と違って重きお役をも勤める兄でござる、權六と同一には相成りません、權六は上の仰せ出されを破り、外出を致したをお咎めもなく、格別の思召のこれ有る所の神原五郎治へお咎めのあるとは、実に依怙の御沙汰かと心得ます、左様な依怙の事をなされては御裁許役とは申されません」
「黙れ四郎治、不束なれども信樂豊前は目付役であるぞ、今日其の方らを調ぶるは深き故有っての事じゃ、此の度御出府に成られた、御国家老福原殿より別段のお頼みあって目付職を勤めるところの豊前に対して無礼の一言であるぞ」
「ではございますが、余り片手落のお調べかと心得ます」
「其の方は部屋住の身の上で、兄の代りとはいえども、其の方から致して内庭へ這入るべき奴では無い、然るを何んだ、其の方が家来に申付けて内庭を廻れと申付けたるは心得違いの儀ではないか、前殿様より格別のお声がゝりのある家柄、誠に辱ない事と主恩を弁えて居るか、四郎治」
「はい、心得居ります」
「黙れ、新参の松蔭大藏と其の方兄五郎治兄弟の者は心を合せて、菊之助様をお世嗣にせんが為めに御舎弟様を毒殺いたそうという計策の段々は此の方心得て居るぞ」
「むゝ」
「けれども格別のお声がゝりもこれ有る家柄ゆえ、目付の情を以て柔和に調べ遣わすに、以ての外の事を申す奴だ、疾に証拠あって取調べが届いて居るぞ、最早遁れんぞ、兄弟共に今日物頭へ預け置く、勘八其の方は不埓至極の奴、吟味中入牢申付ける、權六」
「はい私も牢へ入りますかえ」
「いや其の方は四月の二十八日から遠慮になったな」
「えゝ」
「二十八日から丁度昨夜が遠慮明けであった」
「あゝ然うでございますか」
「いや丁度左様に相成る、遠慮が明けたから、其の方がお庭内を相変らず御主君のお身の上を案じ、御当家を大切と思い、役目の外に夜廻りをいたす忠義無二のことと、上にも御存じある事で、後してはまた格別の御褒美もあろうから、有難く心得ませい」
「有難うございます、なにイ呉れます」
「何を下さるかそれは知れん」
「なに私は種々な物を貰うのは否でございます、どうかまア悪い奴と見たら打殺しても構わないくらいの許しを願えてえもので、此の頃は余程悪い奴がぐる/\廻って歩きます、全体此の四郎治なんという奴は打殺して遣りてえのだ」
「これこれ控えろ、追って吟味に及ぶ、今日は立ちませえ」

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