三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「えゝ、お戒名は如何さま好いお戒名で、うゝ…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「ええ、戒名はたいそう立派ですね。ああ『光岸浄達信士』」
「ええ、これはほんの気持ちばかりで、ご親切なご回向をいただきまして、ちょっとしたお布施で」
「いや、あなたは旅の方だし、布施物を出さなくても結構です。それより、わたくしは一文ずつもらって歩く旅僧ですから、一文でも二文でもお回向するのは当たり前のことです。でも、布施のない経は功徳にならないと言いますので、これはいただきます。それでは私は旅の疲れで、すぐに寝ます。ま、失礼します」
「あなた、少しお願いがございます」
「はい、何でしょうか?」
「お恥ずかしいことですが、宿の息子が私を女と侮って、毎晩私の寝床に来て、とんでもないことを言ってきます。もし言うことを聞かなかったら殺すとか、鉄砲で撃つとか言うのです。バカな奴だと思いますから、私も適当にごまかして、7日が過ぎたら言うことを聞こうとごまかしておきましたが、今夜がちょうど7日の逮夜で、明日朝早くこの宿を出発するつもりです。きっと今夜来て何か言うでしょうし、再び理不尽なことをするかもしれません。本当に困るのですが、幸い隣に泊まってくださっているのですから、もしものときは貴方のお部屋に逃げ込むことがあるかもしれません。その時はどうか助けてください」
「いや、それはひどい。それは大変なことだ。私に知らせなさい。捕まえて宿の主人を呼んで話をします。そんなことはありませんよ。自分の家の客に対して、女旅と侮って、恋慕をしかけるとはとんでもないことです。実にバカほど怖いものはない。いいですよ、来たら教えてください」
「どうかお願いします」

原文 (会話文抽出)

「えゝ、お戒名は如何さま好いお戒名で、うゝ光岸浄達信士」
「えゝ、是は只心ばかりで、お懇の御回向を戴きまして、ほんのお布施で」
「いや多分に貴方、旅の事だから布施物を出さんでも宜しい、それやア一文ずつ貰って歩く旅僧ですから、一文でも二文でも御回向をいたすのは当然で、併し布施のない経は功徳にならんと云うから、これは戴きます、左様ならば私は旅疲れゆえ直ぐに寝ます、ま御免なさい」
「あなた少々お願いがございます」
「はい、なんじゃな」
「おつな事を申上げるようでございますが、当家の忰が私を女と侮りまして、毎晩私の寝床へまいって、怪しからん事を申しかけまして、若し云うことを肯かなければ殺してしまうの、鉄砲で打つのと申します、馬鹿な奴と存じますから、私も好い加減に致して、七日でも済んだら心に従うと云い延べて置きましたが、今晩が丁度七日の逮夜で、明朝早く此の宿を立とうと存じますから、屹度今晩まいって兎や角申し、又理不尽な事を致すまいものでもあるまいと存じますで、誠に困りますが、幸い隣へお相宿になりましたから、事に寄ると私が貴方の方へ逃込んでまいりますかも知れません、其の時には何卒お助け遊ばして下さるように」
「いや、それは怪しからん、それは飛んだ事じゃ私にお知らせなさい、押えて宿の主人を呼んで談じます、然ういう事はない、自分の家の客人に対して、女旅と侮り、恋慕を仕掛けるとは以ての外の事じゃ、実に馬鹿程怖い者はない、宜しい/\、来たらお知らせなさい」
「何卒願います」


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