三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「へえ……お嬢さま、私だけはどうかお供仰付…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「はい……お嬢様、私だけはどうかお供に連れて行ってください。お願いいたします。まあこうしてお仕えするようになって5年になりますし、親父は年をとっていますが、まだまだ元気です。旦那様にも特に私を気に入っていただいていましたから、忠平だけはお供させてください。お道中と言っても若旦那様もまだお若いし、お嬢様だって旅慣れしていらっしゃらないので、私がお供しなければ、本当に心配です。家で心配しているよりはお供に行った方がずっとよっぽどいいので、どうかお供に連れて行ってください」
「それは私もあなたにお供をしてもらえると安心ですけど、親父が納得しないでしょうし、留守にも困るでしょう」
「いえ、困ると言っても職人たちがいますから、何とかやっていけます。わざわざ親父に会ってしまうと、あれこれと言ってきますから、立つ前に手紙で詳しく書いておきます。どうか私だけはお邪魔でもお供に連れて行ってください」
「本当にあなたの気遣いがありがたいです……私もあなたに行ってもらいたいのは山々だけど、祖五郎もご覧の通りまだ若くて……でも、それはそれで申し訳ないです」
「とんでもないです。私の方からお願いしているくらいですから、今回はぜひお供させてください。どうかお願いいたします」
「それなら岩吉を呼んで、よく相談した上で決めましょう」
「いえ、相談すると訳のわからないことを言って、とても相談になりません。それよりも立つ前に手紙を一通書けば、最後までお供しても問題ありません。心配いりません」

原文 (会話文抽出)

「へえ……お嬢さま、私だけはどうかお供仰付け下さいますように願いたいもので、まア斯うやって私も五ヶ年御奉公をいたして居ります、成程親父は老る年ですが、まだ中々達者でございます、旦那様には別段に私も御贔屓を戴きましたから、忠平だけはお供をいたし、御道中と申しても若旦那様もお年若、又お嬢様だって旅慣れんでいらっしゃいますから、私がお供をしてまいりませんと、誠にお案じ申します、宅で案じて居りますくらいなら、却ってお供にまいった方が宜しいので、どうかお供を」
「それは私も手前に供をして貰えば安心だけれども、親父も得心しまいし、また跡でも困るだろう」
「いえ困ると申しても職人も居りますから、何うぞ斯うぞ致して居ります、なまじ親父に会いますと又右や左申しますから、立前に手紙で委しく云ってやります、どうか私だけはお邪魔でもお供を」
「誠に手前の心掛感心なことで……私も往って貰いたいというは、祖五郎も此の通りまだ年は往かず……併しそれも気の毒で」
「何う致しまして、私の方から願っても、此の度は是非お供を致そうと存じて居るので、どうか願います」
「そんなら岩吉を呼んで、宜く相談ずくの上にしましょう」
「いえ相談を致しますと、訳の分らんことを申してとても相談にはなりません、それより立つ前に書面を一本出して、ずっとお供をしてまいっても宜しゅうございます、心配ございません」


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