三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「何だよ、其様なものを出してはいけないよ、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

現代語化

「おい、そんなもの出したらダメだよ。おーい、困るよ。お湯を徳利に入れるな」
「心配しないでくださいよ。大丈夫です。ちょっと理由があるんですから。お菊さん、もう一杯いかがですか?今日は普段より特別きれいに見えますね」
「何ですか?つまんないお世辞を言わないで、さっさと部屋に行って寝てくださいよ。お願いですから。私があと片付けなきゃいけないんですから」
「もう一杯いかがですか?」
「私は飲みたくないですよ」
「じゃ、せめてお酒を注いでください」
「お酌ですか?私がですか?困りますねえ。じゃあ一杯だけですよ。どうぞ」
「へえありがとうございます。ヒエ、いただきます……ありがたい。まるで夢みたいな話ですね。お菊さん、本当にお前さん、私がここに奉公に来た時から、ずっと好きだったんです」
「そんなこと言わないで、さっさと向こうに行っていただけますか?」
「そんなに邪魔にならないからいいじゃないですか。これで縁談もちゃんと決まったんですから。知らぬが仏っていいますが、縁ってのはちゃんと決まってるんですよ」
「何の縁ですか?」
「何でもいいんです。私がここに奉公に来た時、初めてお前の姿を見て、なんてきれいな女中さんだろうと思いました。こんなきれいな人はどこへ嫁に行くんだろう、どんな人と結婚するんだろうって考えてたら、旦那様のお妾さんだと聞いて、仕方ないと思って諦めましたが、寝ても覚めてもお前のことを忘れたことはありません」
「冗談を言わないでください。気持ち悪い。向こうに行って寝てください」
「行きません。亥の刻までは行きませんよ」
「困りますよ。いつまでもこんなことしてたら。お願いですから。また明日おいしいものあげるから」
「お前さんの食べかけを半分くらい食べてみたかったんです。でも、食べかけが残ったことがなくて。だからこっそり台所に膳が洗わずにある時は、洗ったふりをしてなめて、拭いてしまって置きました」
「汚いですね。私は嫌です」
「それと、お前さんの肌を見てみたかったんです。でも見ることができなくて。それで先日、前町の風呂屋が休みで行水を浴びたじゃないですか?その時に白い肌が見えると思ってたら、全部戸で囲われてて覗くことができなかった。どうにかしようとしたら節穴があったから覗いてみたんです。でも、ひどい穴で、斜め上に向かっていて、戸に大きな釘が出ていて頬を引っ掻いちゃいました」
「オホヽヽ気持ち悪い」
「その時に使った糠が欲しくて、糠袋を開けて天日にかけて乾かして、紙袋に入れて貯めておいて、炊きたてのご飯にかけて食べました」
「気持ち悪い。汚い」
「それと、お前の入浴したお湯を飲もうと思ったんですけど、飲みきれなくて、もったいないなぁと思ったんですけど、半分くらいしか飲めなくて、三日後にお腹を下しました」
「冗談にも限度がありますよ。向こうに行ってください。気持ち悪い」
「お菊さん、もう亥の刻ですか?」
「もうそろそろ亥の刻ですよ」
「亥の刻ならそろそろ始めないとだめだな」

原文 (会話文抽出)

「何だよ、其様なものを出してはいけないよ、あらまア困るよ、お鉄瓶へお燗徳利を入れてはいけないよ」
「心配しねえでも宜え、大丈夫だよ、少し理由があるだ、お菊さん、ま一盃飲めなせえ、お前今日は平日より別段に美しいように思われるだね」
「何だよ、詰らんお世辞なんぞを云って、早くお部屋へ往って寝ておくれ、お願いだから、跡を片附けて置かなければならないから」
「ま一盃飲めなアよ」
「私は飲みたくはないよ」
「じゃア酌だけして下せえ」
「お酌かえ、私にかえ、困るねえ、それじゃア一盃切りだよ、さ……」
「へえ有難え是れは……ひえ頂戴致しやす……有難え、まアまるで夢見たような話だという事さ、お菊さん本当にお前さん、私が此処へ奉公に来た時から、真に思って居るよ」
「其様なことを云わずに早く彼方へお出でよ」
「然う邪魔にせなえでも宜えが、是でちゃんと縁附は極っているからね、知らず/\して縁は異な物味な物といって、ちゃんと極っているからね」
「何が縁だよ」
「何でも宜い、本当ね私が此方へ奉公に来た時始めてお前さんのお姿を見て、あゝ美しい女中衆だと思えました、斯ういう美しい人は何家え嫁付いて往くか、何ういう人を亭主に持ちおると思ってる内に、旦那さまのお妾さまだと聞きやしたから、拠ねえと諦らめてるようなものゝ、寐ても覚てもお前さんの事を忘れたことアないよ」
「冗談をお云いでない、忌らしい、彼方へ往ってお寝よ」
「往きアしない、亥刻までは往かないよ」
「困るよ、其様なに何時までもいちゃア、後生だからよ、明日又旨い物を上げるから」
「何うしてお前さんの喰欠けを半分喰うて見てえと思ってゝも、喰欠けを残した事がねえから、密と台所にお膳が洗わずにある時は、洗った振りをして甜めて、拭いてしまって置くだよ」
「穢いね、私ア嫌だよ」
「それからね、何うかしてお前さんの肌を見てえと思っても見る事が出来ねえ、すると先達て前町の風呂屋が休みで、行水を浴った事がありましたろう、此の時ばかり白い肌が見られると思ってると、悉皆戸で囲って覗く事が出来ねえ、何うかしてと思ってると、節穴が有ったから覗くと、意地の悪い穴よ、斜に上の方へ向いて、戸に大きな釘が出ていて頬辺を掻裂きイした」
「オホヽヽ忌だよ」
「其の時使った糠を貯って置きたいと思って糠袋をあけて、ちゃんと天日にかけて、乾かして紙袋に入れて貯っておいて、炊立の飯の上へかけて喰うだ」
「忌だよ、穢い」
「それから浴った湯を飲もうと思ったが、飲切れなくなって、どうも勿体ねえと思ったが、半分程飲めねえ、三日目から腹ア下した」
「冗談を云うにも程がある、彼方へお出でよ、忌らしい」
「お菊さん、もう亥刻かな」
「もう直に亥刻だよ」
「亥刻ならそろ/\始めねえばなんねえ」


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