三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』 「是で八枚で、九枚で十枚十一枚十二枚十三枚…

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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『菊模様皿山奇談』

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「これで8枚、9枚、10枚、11枚、12枚、13枚、14枚、15枚、16枚」
「あら……お皿が割れてる」
「それほら、お父さん見てください。ほらこの通り、まだベタベタしてる。この糊でくっつけてごまかそうなんて、図々しいやつじゃないですか」
「いえ、さっきお爺様が調べた時には、全然割れてませんでした」
「どうしたって、ほらこの通り割れてるじゃないですか」
「さっきは何ともなくって、今割れてるなんて、どういうわけでしょう?」
「だからこうなるから油断できないんだ。千代、割るならまだしも、ちょっと欠けたとか、ひびが入ったとかだったら、これまでの働きで許してやることもできたかもしれないが、こんなに大きく割っちゃって何の言い訳もできない。おい、誰かいねえか。何だ、何だじゃ分かんねえ。おっと、辨蔵。お前、千代の保証人の丹治のところへすぐに行ってくれ。あまり世間に知れ渡る前に行ってくれ。千代が皿を割ったから、約束通りにやるから、念のためお知らせしますって言って、早く行ってこい」
「はい」
「奥さん……!」
「あら、丹治か。さっきは本当にお疲れ様。おかげさまでだいぶよくなったわ」
「はぁ、本当にすみません。こんなことになってしまって」
「どうしたの?」
「あの、お嬢様が皿を割ったそうです」
「え……丹治、皿を彼氏が……」
「はい。さっき奉公人が来て、お千代さんが皿を割ったから、あなたは保証人だから、約束通りでも断りなしには手続きできないから、ちょっとお知らせしますって、立会ってくれって言うんです。私が思うに、向こうはあっちの人たちだから、謝っても許さないだろうと思って、私が急いでお知らせにきたんですが。お嬢様が向こうへ嫁ぐ時、何かあったら嫌だなって思って、門まで私が見送りに来た時に、あなた、皿は割っちゃいけませんよって言ったんです。そしたらお嬢様が、すごく薄そうですし、土でできてるんだから割れないとも言い切れませんから、そんなこと言わないでくださいって。情けない話ですが、お詫びに行ってみようと思います」
「だから私が言ったじゃない!あの子を不具者にしてはいけないから、私も一緒に連れて行って」
「連れて行けたって、あなたは歩けないでしょう」
「歩けないわけもあるまい。一生懸命になって行きますよ。どうかお願いだから、私の手を引いて連れて行って」
「でも、ここから一里もあるんですよ。病気上がりで歩けるわけないでしょ」
「私はもうびっくりし過ぎて腰が抜けちゃいました」
「これはどうしようもないな。私も腰が抜けそうだけど、あなたは腰が抜けちゃダメですよ」
「どうかお願いだから……とりあえず彼の気性について話して、親孝行のためにそちらの家に奉公に来たんだって、事情を話して、何としても私が謝って、指を切られることを免れるようにしますから。丹治、本当に申し訳ないけど、協力してくれ」
「協力したっていいけど、ちょっと4〜5丁ならまだしも……よし、分かりました。私も一生懸命やります」

原文 (会話文抽出)

「是で八枚で、九枚で十枚十一枚十二枚十三枚十四枚十五枚十六枚」
「おや……お皿が毀れて居ります」
「それ見ろ、お父様御覧遊ばせ、此の通り未だ粘りが有ります此の糊で附着けて瞞かそうとは太い奴では有りませんか」
「いえ、先程大殿様がお検めになりました時には、決して毀れては居りません」
「何う仕たって此の通り毀れて居るじゃアないか」
「先刻は何とも無くって、今毀れて居るのは何う云う訳でしょう」
「成程斯う云う事があるから油断は出来ない、これ千代毀りようも有ろうのに、ちょっと欠いたとか、罅が入った位ならば、是れ迄の精勤の廉を以て免すまいものでもないが、斯う大きく毀れては何うも免し難い、これ、何は居らんか、何や、何やでは分らん、おゝそれ/\辨藏、手前はな、千代の受人の丹治という者の処へ直に行ってくれ、余り世間へぱっと知れん内に行ってくれ、千代が皿を毀したから証文通りに行うから、念のために届けると云って、早く行って来い」
「へえ」
「御新造さまア……」
「おや丹治か、先刻は誠に御苦労、お蔭で余程宜いよ」
「はっ/\、誠にはや何ともどうも飛んだ訳になりました」
「ドヽ何うしたの」
「へえ、お嬢様が皿ア割ったそうで」
「え……丹治皿を彼が……」
「へえ、只今彼家の奉公人が参りまして、お千代どんが皿ア割っただ、汝受人だアから何ぼ証文通りでも断りなしにゃア扱えねえから、ちょっくら届けるから、立合うが宜いと云って来ました、私が考えますに、先方はあゝ云う奴だから、詫びたっても肯くまいと思って、私が急いでお知らせ申しに来やしたが、お嬢さまが彼家へ住込む時、虫が知らせましたよ、門の所まで私送り出して来たアから、貴方皿ア割っちゃアいけないよと云ったら、お嬢様が余程薄いもんだそうだし、原土で拵えたもんだから割れないとは云えないから、それを云ってくれちゃア困るよと仰しゃいましたが、何とまア情ねえ事になりましたな、どうか詫をして見ようかと思います」
「それだから私が云わない事じゃアない、彼の娘を不具者にしちゃア済まないから、私も一緒に連れてっておくれ」
「連れて行けたって、あんた歩けますまい」
「歩けない事もあるまい、一生懸命になって行きますよ、何卒お願いだから私の手を曳いて連れてっておくれ」
「だがはア、是れから一里もある処で、なか/\病揚句で歩けるもんじゃアねえ」
「私は余り恟りしたんで腰が脱けましたよ」
「これはまア仕様がねえ、私まで腰が脱けそうだが、あんた腰が脱けちゃア駄目だ」
「何卒お願いだから……一通り彼の心術を話し、孝行のために御当家さまへ奉公に来たと、次第を話して、何処までも私がお詫をして指を切られるのを遁れるようにしますから、丹治誠にお気の毒だが、負っておくれな」
「負ってくれたって、ちょっくら四五丁の処なれば負って行っても宜いが……よし/\宜うごぜえます、私も一生懸命だ」


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