佐々木味津三 『山県有朋の靴』 「なにしろこの通りの赤児でございますから、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『山県有朋の靴』

現代語化

「とにかくこの通り赤ちゃんでございますから、いいえ、あなた、赤ちゃんでございますけれど、大丈夫です。3歳の時から私が娘のようにして育てた小婢でございますから、ご安心を。――おい、みんな何やってんだい。あちらの浪人のお酒なんかいらないよ。早くこちらに運んできて」
「お前、あれと友達だろ。用はない。あっちに行け」
「……?」
「もうここではいいから、あっちに行け。早く行けっ」
「そうですか。あっちですか……。やあ君。昨日は失礼しました。下がれって言われたから来たよ」
「バカめが!」
「どうして、あんなやつを連れて来たんだ!」
「俺が連れて来たわけじゃない。フラフラこっちに歩いてきたら、和服を着た陸軍中将も面白がって、フラフラついてきたから、一緒にここに入って来ただけさ」
「何が陸軍中将だ。お前、そういう媚びた真似をするから、みんなから仲間はずれにされるんだ。女将も女将だ。江戸の名残りだの、珍し屋だのと、偉そうな看板を掲げておいて、あのざまは何だ!こういうことをするから、成り上がりがどんどん調子に乗るんだ」
「そういうことになるかもしれません」
「なると思ったら、お前をはじめ、こんな真似をするな!するから、尻尾を振るから、心の汚れてない女まで、お雪みたいな女までが――」

原文 (会話文抽出)

「なにしろこの通りの赤児でございますから、いいえ、ご前、赤児ではございますけれど、大丈夫ですよ。三つの年からわたくしが娘のようにして育てた小婢でございますから、よろしいように。――もしえ、みんなもなにをしておるんだえ。あちらの御浪人さんのお酒なんぞあとでいいよ。早くこちらへお運び申しておくれ」
「おまえ、あれと朋輩じゃろう。用はない。あれの方へ行け」
「……?」
「ここにはもういなくてもよいから、あちらへ退れというのじゃ。早く退れっ」
「そうでございますか。あちらへ行くんですか……。やあ君。ゆうべは失敬。さがれと言ったからやって来たよ」
「馬鹿めがっ」
「なんだとて、あんなものを案内して来たんじゃ!」
「おれが案内して来たわけじゃない。ふらふらとこっちへやって来たら、和服の陸軍中将も興に乗って、ふらふらとついて来たから、一緒にここへ這入ったまでさ」
「なにが陸軍中将じゃ。貴様、そういうような諛った真似をするから、みんなからも爪はじきされるんじゃ。女将も女将じゃ。江戸の名残りだの、めずらし屋だのと、利いた風な看板をあげておいて、あのざまはなんじゃ! こういう風なことをするから、成り上り者が、ますますのさばるんじゃ」
「そういうことになろうかも知れんの」
「知れんと思ったら、貴様はじめ、こんな真似をせねばよいのじゃ! するから、尾っぽをふるから、心のよごれぬ女までが、お雪のまうなものまでが――」


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