佐々木味津三 『山県有朋の靴』 「おまえ、どうかすると馬鹿ではないかと思う…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『山県有朋の靴』

現代語化

「お前、お前はバカだと思うときもたまにあるけど、使い方によっては、意外と律儀なんだよな。俺が大切にしてる靴だから、丁寧に磨かなきゃって心意気は、生まれに似合わずなかなか立派だ。もう少しハキハキしてたら、出世できなくもないんだけど……」
「…………」
「どこがおかしい! ――どこがおかしいんだ」
「俺はそういうつもりで磨いてたわけじゃないんですけど」
「じゃあどういうつもりで磨いてたんだ?」
「こうやってぼーっと手を動かしていると、頭が空っぽになれるんで、それで磨いてただけなんです」
「またぁ!そういうこと言うから、なんとか出世してやろうと思っても、やる気が起きねえんだよ。バカになる練習って言うんならそれでもいいが……」

原文 (会話文抽出)

「おまえ、どうかすると馬鹿ではないかと思うときがあるが、使いようによっては、なかなか律義もんじゃな。わしが大切にしている靴だから、大切に磨かずばなるまいという心掛けが、育ちに似合わずなかなか殊勝じゃ。もう少しはきはきしておったら、出世出来んもんでもないが……」
「…………」
「なにがおかしい! ――どこがおかしいんじゃ」
「わたしはそんなつもりで、磨いていたわけではないんですが」
「ではどんなつもりで磨いたというんじゃ」
「こうやってぼんやり手を動かしておると、心持が馬鹿になれますから、それで磨いていたんですが」
「またそういうことを言う! そういうことを言うから、なんとか出世の道を開いてやろうと思っても、する気になれんのじゃ。馬鹿になる稽古をするというならそれでもいいが……」


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